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小さな観察メモ|あれもこれも試して、英語がだんだん「散らかって」きていませんか?

Nao705

 
最近、英語の学習を見ていて、少し気になることがあります。英語を勉強するというとき、私たちはたいてい、どこかを「直す」ことをしています。発音を直す。文法を直す。リンキングやリズムを直す。
 
私自身も、レッスンでは直します。直すべきところは、きちんとお伝えします。直すことには、ちゃんと意味があります。
 
ただ、最近ふと思うことがあります。同じ「直す」でも、向いている方向が、二つあるのではないか、ということです。一つは、その直しが、英語そのものに繋がっていく方向。もう一つは、直すこと自体が、目的になっていく方向です。
 
たとえば、後者は、こんな感じです。きれいに直った。録音して聴き比べると、前と後で、確かに変わっている。それで、ひとまず終わり。日本の英語学習って、もしかするとずっと、後者に傾きやすいのかもしれません。
 
一年ほど前でしょうか。発音をていねいに勉強してこられた方と、レッスンをしたことがあります。細かい音への意識も、英語の音を聞き取ろうとする注意力も、しっかり積み重なっている方でした。でも一方で、英語の響きそのもの、音が立ち上がってくる感じは、まだあまりない様子でした。私のレッスンでその感じを体感したとき、はじめて英語の音に触れたような新鮮な感動があった、と伝えてくれました。
 
そのとき、ふと思いました。もしかして私たちは、最初から「そこ」を目指していないことが、多いんだろうか、と。
 
ここ数年で、英語学習はずいぶん細かく分かれてきました。IPA、リンキング、シャドーイング、瞬間英作文、AI添削、発音診断。英語の、どこか一部を取り出して、正しく整える。そういう練習が、どんどん増えています。それぞれに、意味はあります。
 
私自身、レッスンを発音、文法、学習の地図、というように分けています。各スキルを、一度ていねいに、土台として作る時間も取ります。分けること自体は、自然なことだと思うのです。
 
ただ、私の中では、それが全部繋がっています。発音も、文法も、学習の進め方も、最後は「英語そのもの」という一点に向かっている。だから、分けてはいても、分かれたままにはしていない。
 
気になるのは、たぶんここなのだと思います。英語が、だんだん「部品」になっていく。一つひとつは、ちゃんとできるようになっていく。でもなぜか、それが全部つながって「英語そのもの」が動き出す、という感じが、なかなか来ない。部品はそろっているのに、英語そのものが、立ち上がってこないのです。
 
そして、ここからが、私が一番不思議に感じていることです。もしかすると私たちは、英語学習に対して、最初から「そこまでは変わらない」と思っているのかもしれません。通じればいい。ネイティブっぽく聞こえればいい。少し聞き取れればいい。そのあたりを、無意識のゴールにしている。
 
それは、とても自然なことです。責められることでは、まったくありません。ただ、ときどき思うのです。英語は、本当はもっと深いところまで、変わることがあるのではないか、と。それは大人になってからでも。
 
一つひとつの音を直すのではなく、英語の音が、まるごと自分の中で立ち上がってくる。言いたいことが、英語のかたちのまま出てくる。それは「直した結果」というより、もっと全体が、すっと入れ替わるような感覚に近いのです。
 
おもしろいのは、こういう方向で学んでいる人ほど、学習の仕方が、だんだんシンプルになっていくことです。AIも使う。ネイティブとも話す。資格試験の教材を進めることもある。使っているものは、むしろ多いくらいです。
 
でも、それが全部、一つの方向に繋がっているので、やっていること自体は、不思議と散らからない。繋がる軸が、真ん中にあるからだと思います。
 
日本の英語学習は、たくさんの工夫であふれています。教材も、練習法も、年々ていねいになっています。でも、その地図の中に、「英語そのものが立ち上がる」という場所は、最初から描かれているでしょうか。
 
直すことも、分けることも、そこへ向かうための入口です。それ自体が、行き先ではなく。そんなことを、最近ぼんやりと考えています。
 
「英語そのものが立ち上がる」という感覚については、「英語のOSを整える」というシリーズで、もう少していねいに書いています。「一生懸命話しているのに、なぜか楽にならない理由」や、「一生懸命勉強しているのに、なぜ英語が自分の言葉にならないのか」のあたりが、今回の話と近いかもしれません。「英語そのものが立ち上がる」って具体的にどういうこと? を、be動詞を例に見ている回(「be動詞は、『=』ではない」)も、近日公開予定です。
 
「頑張った感じがあるほど、良いレッスンなんだろうか?」「英語の自然さって、どこで感じているんだろう」といった観察メモも、今回と地続きの話です。
 
あれこれ試してきたけれど、一度「軸」から整理したい。そんな方には、学び方のコーチングもしています。よければ、プロフィールや他のレッスンものぞいてみてください。
 
 
#英語学習 #英会話 #発音 #大人の英語

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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