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【英語のOSを整える|観察編 】get は、「得る」ではない

Nao705

これまで、be と have について、英語では、感触や像が、どう確かなものとして立ち上がり、どう自分の内側に抱えられていくのか、という視点から、少しずつ観察してきました。
 
今回は、同じように、英語でとても頻繁に登場する、"get" について、少し観察してみたいと思います。
 
学校ではよく、get = 得る、と習います。
 
もちろん、これも完全に間違いではありません。I got a ticket. なら、「チケットを手に入れた」で、たしかに通じます。
 
ただ、実際の英語を長く見ていると、「得る」は、get と比べると少し具体的すぎるように感じることがあります。
 
たとえば、
 
I got tired. I got angry. It's getting dark. I got stuck. I finally got it.
 
など。
 
ここで起きているのは、「何かを手に入れる」という感じではありません。むしろ、ある状態が、まだ自分の側になかったところから、すっと自分の側へ移ってきて、その移り変わりそのものが起きている。そんな感覚に近いように思うのです。
 
以前の「be」の回では、英語では、ごくかすかな感触がきっかけとなって、像が、確かなものとして立ち上がる、という話を書きました。
 
そして「have」の回では、その感触や状態を、自分の輪郭の内側に、そのまま抱えている、という感覚に触れました。
 
have が、すでに内側にあるものを、静かに抱えている感じだとすると、get は、まだ外にあったものが、内側へ移り込んでくる、その動きのほうに、感覚の重さがあるように思います。
 
たとえば、I got tired. なら、"疲れ"という感触が、もともと自分の側にあったわけではなく、だんだん " I " のほうへ入り込んできて、そのまま自分の状態になっていく。
 
It's getting dark. も同じです。dark という感触が、まだそこになかったところから、少しずつその場へ広がってきて、空間全体が、そういう状態へ移り変わっていく。
 
だから get は、単なる「得る」というより、ある状態が、まだ自分の側になかったところから、すっと移ってきて、自分のもの、あるいはその場のものになっていく。その移り変わりに近い。そんなふうにも感じます。
 
I finally got it. も興味深い表現です。
 
ここでも、単に「それを手に入れた」というより、それまで少し離れたところにあって、つかめなかった理解が、ようやく " it " として、すっと自分の側へ入ってくる。そんな感覚に近いことがあります。
 
そして実は、この "すっと入ってくる感じ" は、英語の「分かる」という感覚そのものにも、深く関わっているように思います。
 
日本語では、全体の様子や空気が、先に、なんとなく広がっていることがあります。
 
でも英語では、何かが、確かなものとして立ち上がり、それを自分の内側に抱え、さらに get では、まだ外にあった状態が、自分の側へ移り込んでくる。
 
だから英語では、「移り変わり」や「自分の側へ入ってくる」という感覚が、けっこう大事に働いているのかもしれません。
 
そして、この感覚は、助動詞や時制にも、少しずつ繋がっていきます。
 
以前少し触れたように、英語では、単に時間が流れているというより、話者が、その感触や状態を、どれくらい確かなものとして引き受けているのか、その引き受け方のほうが、強く働いているように感じます。
 
get では、まだ自分の側になかったものが、すっと移ってきて、自分の状態になる。その切り替わりの瞬間そのものを、捉えているようにも見えます。
 
だから英語は、単語を順番に組み立てているというより、感触や、像や、その移り変わりが、並列的に存在しながら、少しずつ結びつき、言葉になっていく感覚に近いのかもしれません。
 
もちろん、これは「唯一絶対の説明」ではありません。
 
ただ、英語を長く観察していると、get を、単なる「得る」として扱うより、"まだ自分の側になかった状態が、すっと移ってきて、自分のものになっていく流れ" として見た方が、英語全体の感覚が、自然につながって見えてくるように感じます。
 
次回は、go がなぜ「行く」だけでは説明しきれないのか、について、同じ「英語OS」の視点から、もう少し見ていこうと思います。
 
更新を見逃したくない方は、フォローしていただけたら嬉しいです^^


 
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プロフィール
 
英語講師のNaoです。日本育ちのまま英語を習得し、TOEIC990点取得(複数回)。20年以上、たくさんの学習者を見ながら、「なぜ話せないのか」「何が効くのか」を観察し続けてきました。そのなかでたどり着いたのが、処理構造そのものを整えるというアプローチです。英語を自立して吸収できる土台が整うと、英語は、先生がいなくても育ち続けるものになっていく。レッスンでは、そんな土台づくりを一緒にしています。
 
このテーマについて、少しずつ続きを書いていく予定です。
 
同じ内容をnoteでも公開しています。→ note
 
日本語コラムと合わせて、英語での発信も少しずつ増やしていく予定です。→  Substack 
 
▼ 気になった方へ
 
「得る」では掴みきれない、英語の感覚そのものを一緒に整理したい方 → ネイティブ感覚の英文法(45分)
 
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