日本語・韓国語講師の Hayoung_Eikoです。^ ^
皆さんは、「癒やされる」と聞くと、どんな場面を思い浮かべますか?
好きな音楽を聴いたとき。
おいしいものを食べたとき。
きれいな景色を眺めたとき。
あるいは、誰かの優しい言葉に救われたとき。
私たちは、そんな気持ちを
「癒やされた」の一言で表すことが多いですよね。
でも韓国語を学んでいると、
その一言では表しきれない、心の動きがあることに気づかされます。
そのきっかけになったのが、
달래다(タルレダ) という言葉でした。
辞書には、「なだめる」「慰める」とあります。
でも、この言葉を知ったとき、
私は「日本語にはぴったり重なる言葉がないな」と感じました。
まず、日本語の「慰める」に近い韓国語は위로하다 です。
悲しんでいる人に言葉を掛けたり、
励ましたり、寄り添ったりして、
その悲しみを少しでも和らげようとすること。
そんな場面で使われます。
一方の 달래다 は、少し違います。
例えば、小さな子どもが泣いている場面を思い浮かべてみてください。
抱っこをしたり、お気に入りのおもちゃを渡したり、
「大丈夫だよ。」
と優しく声を掛けたり。
でも、無理に泣き止ませようとはしません。
子どもの気持ちに寄り添い、その子自身が少しずつ落ち着いていくのを、そっと見守る。
そんな場面を表すのが 달래다 です。
「悲しみをなくす」というよりも、
揺れている心に寄り添い、その気持ちが自然に静まっていくのを待つ。
そんな優しさが、この一語には込められているように感じます。
だから韓国語では、大人に対しても
마음을 달래다(心を落ち着かせる)
という表現をよく使います。
悲しいことがあった日に好きな音楽を聴く。
お気に入りのカフェでコーヒーを飲む。
静かな公園を散歩する。
誰かとゆっくり話をする。
そんな時間も、自分の心を 달래다 している時間なのかもしれません。
韓国語には、その先の心の変化を表す言葉もあります。
例えば 마음을 녹이다。
直訳すると「心を溶かす」。
冷たく固まっていた心が、誰かの優しさや温かい言葉に触れ、
少しずつ溶けていくような美しい表現です。
さらに 보듬다。
「優しく抱きしめる」「包み込む」と訳されますが、
抱きしめるのは体だけではありません。
傷ついた心や、不安な気持ちまで、そのまま受け止め、
そっと包み込む。
そんな深い温もりを感じる言葉です。
そして、その優しさは 힘이 되다(力になる) へとつながります。
誰かの一言が。
誰かの存在が。
「もう少し頑張ってみよう。」
そう思える力になる。
日本語では、その一連の気持ちを「癒やされた」
の一言で表すことが多いかもしれません。
韓国でも最近は
「힐링되다(癒やされる)」という表現をよく耳にします。
でも、その「힐링」の前には、
寄り添われ、
心が落ち着き、
少しずつ溶け、
包み込まれ、
そして、また前を向く。
その一つひとつの心の変化に、それぞれ違う言葉があります。
だから私は、韓国語は「癒やされる」という結果だけではなく、
そこへ向かう時間そのものを大切にしている言葉なのではないか、
と感じています。
韓国ドラマを見ていても、
誰かが 달래 주다 という言葉を使う場面では、
「相手を変えよう」としているのではなく、
「心が落ち着くまで、そっと隣にいる」
という優しさが伝わってくるような気がします。
言葉を知ると、ドラマのワンシーンも、人とのやり取りも、
少し違って見えてきます。
それもまた、外国語を学ぶ楽しさなのかもしれません ^ ^
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