00|この記事で伝えたいこと
「韓国に13年住んでいました」
こう話すと、たいていの人は
「じゃあ、韓国語は自然に話せるようになったんですね」
と言われることが多いです。
最初は私も、安易にそう思っていました。
ところが実際は、韓国に住み始めて数年経っても、私は韓国語を思うように話せませんでした。
韓国にいるのに、韓国語を使わない。
そんな環境にいたからです。
そこから、結婚をきっかけに私の生活は大きく変わりました。
そして、韓国語との向き合い方も変わっていきました。
今、韓国語を教える立場になったからこそ思うことがあります。
語学は、「どれだけ勉強したか」だけでは決まらない。
私自身の経験から、その理由を少しお話ししたいと思います。

01|住んでるのに話せない地獄
私は韓国に13年住んでいました。
でも、韓国に住み始めてから1年くらいは、韓国語がほとんど話せませんでした。
今思えば、少し不思議な話です。
「韓国に住んでいるんだから、韓国語くらい話せるようになるでしょ」
大体の人がそう思うしょう。
でも、私の場合は違いました。
「韓国に住んでいる」ことと、
「韓国語を使って生活している」こと。
これは同じではないのです。
02|2009年、韓国に行ったばかりの私は・・・
2009年、私は日本語教師として韓国へ渡りました。
日本語学院に就職したので、授業は日本語、先生同士の会話も日本語。
職場で使う言葉はもちろんぜんぶ日本語!
でもここは韓国…笑
さらに、ランチや買い物くらいなら、必要なことは身振り手振りか、簡単な韓国語でなんとかなります。
そして当時付き合っていた、今の夫も日本語がとても流暢でした。
つまり……
韓国に住んでいるのに、韓国語を使わなくても生活できてしまう。
仕事の合間に韓国語学院にも通っていました。
「ちゃんと勉強している」つもりでした。
それでも、1年ほど経っても、韓国語を自由に話せるようにはならなかったのです。
03|「勉強しているのに話せない」には理由があった
当時の私は、韓国語を勉強していなかったわけではありません。
韓国語学院にも通っていた。
単語も覚える。
文法も勉強する。
それなのに、実際の会話になると出てこない。
今なら、その理由がよくわかります。
韓国語を「勉強する時間」はあっても、
「韓国語を使わなければならない時間」が圧倒的に少なかったからです。
=「知っている韓国語」と、「使える韓国語」=
この2つは、似ているようで全然違いました。
04|私の韓国語が変わり始めた、結婚という転機
その後、今の夫と結婚することになりました。
ここから、私を取り巻く環境が大きく変わります。
夫の家族、親戚、友人・・・
そして、日常で出会うたくさんの韓国人。
今までのように、
「日本語で話せばいい」
では済まなくなっていきました。
韓国語で話さなければ、コミュニケーションが取れない。
聞き取れなければ困る、というサバイバルな状況。
言いたいことが伝わらなければ、もう一度言い方を考えなければならない。
そんな環境に、否応なく入っていきました。
そして何より、
「私はこれから、この国で暮らしていくんだ」
と、自分の中で覚悟が決まった時期でもありました。
……今思えば、嫁入りしてようやく本気になったんですね(笑)。
05|「使わなきゃいけない」が、私を変えた
そこからは、語学堂に通ったり、縁のあった韓国人と積極的に話したり。
とにかく、身の回りにあるものを全部、韓国語の勉強材料にしていました。
聞いた言葉をメモする
わからない表現を調べる
覚えた言葉を実際に使ってみる
誰かとの会話の中で、
「今の表現、何て言ったんだろう?」
と思ったら、そのままにしない。
ジャンルなんて関係ありません。
日常会話も、メールも、テレビも、買い物も、人との雑談も。
「韓国語で入ってきたものは、できるだけ韓国語のまま吸収する」
そんな感覚でした。
06|「日本語禁止」それだけで、会話が変わった
語学堂には、日本人の学生もたくさんいました。
当然、日本人同士なら日本語で話したほうが楽です。
でも、仲のいい友達同士で、
「日本語禁止にしよう」
と決めました。
これが、思っていた以上に勉強になりました。
言いたいことを韓国語でどう言えばいいのかわからない。
でも、日本語を使ってはいけない。
だから、知っている単語を組み合わせる
身振り手振りを使う
別の言い方を考える
間違っても、とりあえず口に出す
すると、
「あ、こういうときはこう言えばいいんだ」
という発見が、どんどん増えていきます。
そして一度「自分で使った言葉」は、
教科書で見ただけの言葉より、ずっと記憶に残りました。
07|教室の外に、本当の教材があった
もちろん、語学堂で学んだこともたくさんあります。
文法や語彙を体系的に学ぶことは、語学の土台としてとても大切です。
でも、私が一番「韓国語が伸びた」と感じたのは、
ネイティブの韓国人の中に入って、実際に聞いたり話したりしていた時間
でした。
教科書には載っていない言い回し
韓国人が普段使っている表現
教科書よりずっと速い会話
相手の表情や反応を見ながら、言葉を選ぶ感覚
そして、
「今、この場で伝えなきゃ」
という瞬間。
そういう経験の一つひとつが、
「知っている韓国語」を「使える韓国語」
へと変えてくれたのだと思います。
08|じゃあ、韓国に住んでいない人は?
ここまで読んで、
「でも、私は韓国に住んでいないから……」
と思った方もいるかもしれません。
確かに、韓国に住んでいれば、韓国語を使わなければならない場面は自然と増えます。
でも、私は今、韓国語を教える立場になって思います。
本当に必要なのは、「韓国に住むこと」ではないのかもしれません。
必要なのは、
「韓国語を使わなければならない環境」をつくること。
そして、その環境は、日本に住んでいてもある程度つくることができます。
たとえば、
韓国語で話す時間を意識的につくる
日本人同士でも、あえて韓国語だけで話してみる
覚えた表現を、その日のうちに使ってみる
韓国語で独り言を言ってみる
聞き取れなかった言葉を、そのままにしない
そして何より、
「間違いを恐れず、口から出してみる。」
09|「知っている韓国語」を「使える韓国語」へ
韓国語を勉強していると、
「この文法、知ってる」「この単語、見たことある」
ということが増えていきます。
でも、会話になると出てこない。
これは、決して珍しいことではありません。
なぜなら、
「知っている韓国語」と「使える韓国語」の間には、練習が必要だから。
頭の中にある韓国語を、実際に口から出してみる
→間違える
→直してもらう
→もう一度使ってみる
そうやって少しずつ、「知識」が「自分の言葉」になっていきます。
私は、韓国語を教えるとき、
「正しい韓国語を教えること」だけではなく、
「その人の中にすでにある韓国語を、どうやって口から引き出すか」
を大切にしています。
せっかく覚えた韓国語。
頭の中だけに眠らせておくのは、もったいない。
あなたの中にある韓国語は、もしかしたらもう「話せない」のではなく、
まだ、うまく引き出せていないだけなのかもしれません。
韓国に住んでいなくても大丈夫。
今日から少しずつ、
「韓国語を勉強する時間」だけではなく、
「韓国語を使う時間」
を増やしてみてください。
その積み重ねが、ある日ふと、
「あれ? 前より韓国語が出てくる」
という瞬間につながっていくはずです。
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