「好きです」
震える手でそれだけを書き、友だちに託して彼女に渡した。
遠くから彼女がラブレターを受け取るのを確認し、ほっと息をつく。
授業に戻ったが、黒板の文字は頭に入らない。
それなのに、不安がじわじわと胸を締め付けてきた。
「嫌いです」
もしそう書かれて返ってきたら、しばらく立ち直れないだろう。
あるいは、そもそも返事なんてこないかもしれない。
最悪、破り捨てられる姿を目撃する可能性だってある。
そんな想像がぐるぐると頭を巡るうちに、
僕の顔からはすっかり血の気が引いていた。
返事が怖くて、心臓の鼓動ばかりが耳に響いてくる。
「やっぱり渡さなければよかったんじゃないか――」
心の中でそんな後悔を繰り返しながら、
Comments (0)