個人的には、インタビューなどの記事やものの本などから学んできたことも多いのですが、
中には誤った理解をしてしまい、大変後悔している「大事そうな言葉」もあります(苦笑)
だからこそ、できる限り大きな勘違いをしないように、
個人個人の言葉の感覚のプロトコルを合わせて説明し、
経過観察するレッスン、お稽古が大事だと思っています。
自分が大きな誤解をしてしまった言葉の一つが「まっすぐな音」です。
これは業界で口にする人が結構いると思います。
さて、まっすぐな音とはなんでしょう?
中学生だった僕はこう理解したんですね…
直線的な、ぶれない、均質な、均一な…音。
確かに、堂々として、正しそうです。
音がぶよんぶよんとブレて、
がたついた旋律にヴィヴラートをかけたところで、
ガッタガタになるだけではないか。
ビシッとレーザービームみたいに輝かしい音で
ピアノの音にも負けず〜(炎)
これ、正しくない理解です。
もちろん、弓の先でも、弓の根元でも、弓の真ん中でも、
弓のどこでも同じような発音ができるテクニックが大事と習う。
それは右手の正しい感覚を鍛え、維持することであり、
将来的にはもっと目盛りを細かくして、
「微細な振動から大きな振動まで感じ、コントロールし、
自分の口で話すかのように弓、右手、右腕を使うための基本」に過ぎません。
抑揚があるかどうかだけを指導の基準、観点にすると、
弓を手首で吊り、ふわふわとした(別の意味で誤った)弾き方に陥りがちですし、
楽器を鳴らす、という感覚を覚えられません。
さて、かつて僕が誤解した「まっすぐな音」がどんなものか、みてみてください。
平面的な音を右手で出していくと、左手も力のリリースができず、
動作の流れやまとまりがバラされます。
均質な上にどんなにヴィヴラートや音量の増減を頑張ったところで変化の幅は微々たるものです。
もちろん現代の弓は均一な音を出す機能を持ちます。
でも、その機能だけを使うと、多くの楽曲は音楽になりません。
チェロやコントラバス、管楽器のタンギングの
短い「ブルンっ」という音のように、
はじくような音のシルエット、ニュアンスをコントロールできることが必要です。
固い、均質、均一、平面的な音には情報が「強さ」以外にありません。
そこに情報を足そうとしていくと、打ち消される力を足し続けて引きにくくなり、故障します。
ヴィヴラートなしで立体的な音を描き出すためにどういった訓練があるのか…ざ〜っと教材を眺めていたら、
かつて先生が書いてくれたメモがありました(苦笑)

そう、肝心なことはだいたい教材には書かれていないし、
言葉で指示されたところで、それがなぜ必要か体感できるまでには長い時間がかかるんです
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