梅雨の晴れ間のある日
お家の前で
柴毛を少しだけ飛ばしてみました
白い柴毛は
タンポポの種のように風に乗って運ばれていきます
きっと
どこかの野原まで飛んで行くのもあれば
お向かいのプードルちゃんちに着陸するのもあるでしょう
お友達だったラブラドールちゃんの
寂しそうな飼い主さんちまで
あいさつに行くのもあるでしょうね
着地した柴毛は
やがてそれぞれの場所で
芽を出すでしょう
たくさん日の光を食べて
たくさんお水を飲んで
ぐんぐん育つでしょう
やがて
花が開くでしょう
三角の花びらがピンと
お耳のように立つでしょう
秋になると
実がなります
黒いのや白いのやキツネ色の
その実が熟すと
中から小さな犬の子が
わさわさと生まれてくるのですよ
黒いのや白いのやキツネ色の
ママのミルクを探して大騒ぎ
それからどんどん大きくなって
強くなって
大人になって
落ち着いて
それから少し疲れて
老犬になって
それから
いつまでもいっしょだよ
って言ったのに
そうだ
ラブラドールの飼い主さんが
窓の桟に残ったあの子の毛を
掃除する気にもなれないと
言っていたね
「きれいな毛なら取ってあるの。
埃まみれの毛なのに」
その毛を
お庭に植えてみるのはどうかな
毎日お水をやったら
きっと芽が出てきますよ
万が一
何も出てこないと寂しいから
一緒にお花の種を植えてはどうでしょう
きっと咲きます
犬の花が
いつまでも
いっしょだよ
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