サムネイル

クリスマスに思う - 讃美歌とムーミンと貧しいクリスマスと

Shibashiba

クリスマスといえば、欧米では一番大切な休暇。
楽しい季節であるのと同時に、クリスマスの準備とやらにストレスする人が多いのも事実です。
お正月の準備にバタバタする日本人みたいなものですね。

ここぞとばかりに消費するときでもあります。

私自身、先日あたふたとしていた時、こんな讃美歌の一節を耳にしました。

「神の子主イエスは まずしい姿で
この世に来られて まぶねに生まれた」

まぶねとは、この場合、馬の飼い葉おけのこと。
マリアとヨセフは宿がいっぱいだったため馬小屋に泊まることになり、そこでイエスは生まれたのですね。

 

今では贅沢をするためにあるようなクリスマス。
しかし、あたふた消費しなければいけないようなものではなかった…

ムーミンたちのクリスマス

トウベ・ヤンソンの短編で、『もみの木』というのがありました。
普段は冬眠中でクリスマスを知らないムーミンたちが、なぜか目を覚ましてしまい、初めてのクリスマスを経験するのです。

のんびりしているムーミンたちの周りで、アタフタと走り回って「クリスマス」の準備をしている人(?)たち。ストレスで余裕のない彼らを見て、ムーミンたちは「クリスマス」とは何か恐ろしいものだと勘違いしてしまう。

誰に聞いても説明してくれないので、しかたなく自分たちなりに飾り付けをして準備をする。もみの木のてっぺんに星じゃなくてバラの造花を付けたりして。

待っていても何も悪いことは起こらず、夜は静かに過ぎていく。
もう寝ていいんじゃない?
再び冬眠に戻る前に、彼らは小さな生き物たちのために、お皿に食べ物を置いてもみの木の下に置く。

 

お腹を空かせた生き物たちは、それを食べながら言う。
クリスマスの意味を知っているのは、結局ムーミンたちの方だね、と。

イエスが生まれたのは本当に12月25日?

実際にイエスが生まれたのはいつか、はっきりとは分かっていません。
西方教会(ローマカトリック教会)がこの日を選んだようですが、ロシアなどの東方教会(ギリシャ正教)では、1月初めにお祝いするそうです。

12月25日が選ばれたのは、キリスト教の前からローマで行われていた冬至祭と関係があるようです。つまり、冬が極まり、太陽が新たに生まれてくるときを、イエスの誕生日と決めたのですね。

しかも、それは夜の間の出来事でした。光にあふれた時間ではなく、闇の中。

「世界で初めのクリスマスは
小さな小さなクリスマス」

「クリスマスだから考える
どうして どうして どうして
悲しいことがあるの?」

クリスマスってもしかすると、暗いところに小さな小さな光が灯っているようなものなのかもしれません。

保存リストに追加済み

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

コメント (0)

ログインして、コメント投稿 ログイン »
Recommend ribbon

出身国:

居住国:

教えるカテゴリ

講師の言語

日本語   ネイティブ
英語   流暢
フランス語   流暢

Shibashiba講師の人気コラム

  • おもしろいフランス語表現 - よく舐められた子熊?!

     Un ourson bien léché. フランス語を直訳すると「よく舐められた子熊」実は、しつけの良い子、お行儀のいい子という意味です。 母熊...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6695
    2020年6月30日
  • 「一寸の虫にも五分の魂」-私が好きな日本語の言葉

    子どものころから好きな言葉。「一寸の虫にも五分の魂」簡単に踏みつぶせるように見えるかもしれない。でもね、どんな小っちゃな虫にだって魂はあるんだよ!「魂」とは、死後の魂のことではありません。精神力とか...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6398
    2020年7月15日
  • フランス語のことわざ - Qui ne tente rien n'a rien.

    直訳すると「何も試さない者は何も得ることがない」というフランスのことわざ。15世紀ベルギーの哲学者の言葉「サケを釣るには小魚を手放さなければならない」が元になっているという説も。日本の、というか中国...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6276
    2020年8月30日
  • ベルギーの詩人、アンリ・ミショー

    好きな詩人と聞かれるとちょっと困ってしまうけれど、今回はアンリ・ミショーを挙げようと思います。   ミショーは19世期の最後の年である1899年に生まれ、1984年に没したベルギーの詩...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    5963
    2020年7月30日
« 全講師コラム一覧へ戻る
お気軽にご質問ください!