Thumbnail Image

モロッコでの山登り - ガイドさんへの感謝 2

Shibashiba

10年以上前に行ったモロッコへの家族旅行の続きです。

 

山登りで崖をよじ登ってる途中でした。

 

無理。

私にはこれ以上登れない。

飛び降りることならできそうだけど。

やっぱり別のルートをお願いしてみようか?

 

上を見ると、幼い息子がガイドさんの肩の上から私を見下ろしています。

子どもを肩に載せてまた降りてなんて言えるはずはない。

 

ど、どうしたらいい?

 

とその時、ガイドさんが言いました。

「その突起につかまって。」

 

え、そんなもんあった?

 

「あなたの右手の少し上です。」

 

ほんとだ。

 

「次は、左足をそのくぼみにかけて。」

 

はい。

 

何もとっかかりがない壁と見えた岩壁にも、言われてみるといろんな凹凸がある。

 

ガイドさんが一歩一歩、一手一手私を導いてくれたので、その通りにしたらほとんど腕の筋肉を使わずに上まで登れました。

 

この人はこの山の石のひとつひとつ、くぼみのひとつひとつを熟知しているんだろうな、と実感しました。

幼いときからこの山で遊んでいたのかもしれない。

 

その後は、言われていた通り、楽な道でした。

裏道なのか、他の観光客に会うこともなく、緑の木陰やせせらぎを通って気持ちよく降りていきました。

登りの乾いた埃っぽい道とはまったく違った趣で、こちらを選んでよかった。

 

途中、小さな売店がありました。

木陰の岩のくぼみのようなところで商品を並べ、流れる清水を利用して飲み物を冷やしているのです。

 

「ベルベル人の冷蔵庫ですよ。」とガイドさんが言いました。

そしてガイドさんはそのまま通り過ぎようとしたのですが、私は息子によく見せたくて、ちょっと立ち止まって「見てごらん」と言いました。

 

するとすかさず、ガイドさんは自分のポケットからお金を出してお菓子をひとつ買うのです。

 

お店をじろじろ見ただけで通り過ぎたら、マナー違反ですね。

財布にもっとお金を持っていればよかったと後悔しました。

夫がそこでお金を使うはずはないのですから。

 

しかもガイドさんは買ったお菓子を息子にくれるのです。

私は恥じ入りました。

 

下につくと、私たちは心からお礼を言って、夫も最初値切ったより高めの謝礼をお支払いしました。

(夫は最初に紹介されたガイドさんの料金に納得しなかったため、もっと安い料金でこの若いガイドさんを頼んだという経緯を前に書きました)

結局、最初のガイドさんの言い値を自分からお支払いしたのです。

 

それだけのことはあった、と納得したのですね。

专栏文章仅为讲师个人观点,不代表 Cafetalk 立场。

回应 (1)

登录之后,添加评论 登录 »
  • potate

    いつもレッスン有難うございます。先生のコラムを見つけて楽しく読ませていただきました。モロッコの山登り大変だったんですね!それにしても笑ったのは ご主人のケチぶり(失礼)!。うちの主人も(日本人ですが)そっくり。関西人丸出しでいつも嫌になります。先生の気持ちがすごくわかりました。(笑)

来自:

住在:

授课种类

讲师会的语言

日语   母语程度
英语   流利
法语   流利

Shibashiba 讲师的人气专栏

  • おもしろいフランス語表現 - よく舐められた子熊?!

     Un ourson bien léché. フランス語を直訳すると「よく舐められた子熊」実は、しつけの良い子、お行儀のいい子という意味です。 母熊...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6152
    2020 年 6 月 30 日
  • 「一寸の虫にも五分の魂」-私が好きな日本語の言葉

    子どものころから好きな言葉。「一寸の虫にも五分の魂」簡単に踏みつぶせるように見えるかもしれない。でもね、どんな小っちゃな虫にだって魂はあるんだよ!「魂」とは、死後の魂のことではありません。精神力とか...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    5817
    2020 年 7 月 15 日
  • フランス語のことわざ - Qui ne tente rien n'a rien.

    直訳すると「何も試さない者は何も得ることがない」というフランスのことわざ。15世紀ベルギーの哲学者の言葉「サケを釣るには小魚を手放さなければならない」が元になっているという説も。日本の、というか中国...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    5650
    2020 年 8 月 30 日
  • ベルギーの詩人、アンリ・ミショー

    好きな詩人と聞かれるとちょっと困ってしまうけれど、今回はアンリ・ミショーを挙げようと思います。   ミショーは19世期の最後の年である1899年に生まれ、1984年に没したベルギーの詩...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    5455
    2020 年 7 月 30 日
« 讲师专栏首页
在线客服咨询