赤点という過去最悪の点数を飲み込めなかった。
一方で、地方のトップ高というプライドがあった。
「赤点なのは授業が難しいからだ!」
そう思いたかった。
しかし、現実は違った。
ある夏の夜、偶然夜の公園で中学校の同級生3人と再会した。
恋愛の話やら高校の不満やら最近の状況を話した。久しぶりに盛り上がった。
友「そういえば、ケイスケは◯◯高校だよな?やっぱ頭良いよな」
私「まあね」
友「俺、数学わかんないんだけどさ」
私「どこわかんない?」
友「加法定理。咲いたコスモスコスモス咲いたって何のこと?」
私「えっ」
時が止まった。場が一瞬凍った。何かが崩れ落ちた。
友「そうか。ケイスケは進学校だから範囲違うよな!」
私「そうそう。まだそこ範囲じゃないんだ!」
その場は何とか凌いだ気がするが、私は特大ダメージを食らった。
(進学校の底辺って普通高校の普通の人にも負けるのか!)
ずっと下だと思ってた友達は今や自分のはるか上にいた。
さらに追い討ちをかける出来事があった。
模試の上位者一覧の冊子が高校で配布された。
私には関係ないと思いつつ眺めていた。
すると見慣れた文字列が。私と同じ苗字だ。親戚だ。
彼はトップ高を受けずに安全圏の2番手の高校に進学していた。
2番手の高校のトップは模試上位に食い込むのか!
今まで散々見下してきた友達は水面近くで泳いでる。
いや、水面から空に飛んでいる。
まるでトビウオだなと思った。
私は勉強・努力・気合、三拍子欠けていた。
プライドは折れてもうどうすればいいかわからない。
ただ単に勉強すれば良い話だが、
今までしてこなかったので何をどうすれば良いのか見当がつかない。
高校では相変わらず底辺層。
それもテストが繰り返されるごとに順位は悪化。
298位/320人。後ろには20人くらいしかいない。
ヤバい!どうしよう!
深海魚は群れを作り現状に危機感を覚えながら窓の外の景色を見るのだった。
深海魚ははるか上の水面に思いを馳せる。
いつかはトビウオのように飛び回りたい。
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