大学入試の小論文で環境問題やSDGsをテーマに問われる場合、単に知識を羅列するだけでは評価されません。採点者が重視するのは、「論理的な構成」と「自分の考えを具体的に表現できているか」です。適切な構成を押さえて、説得力のある文章を書けるようになることが合格への近道です。
ここでは、環境問題やSDGsをテーマにした小論文の構成例と、各パートで注意すべきポイントを詳しく解説します。
1. 小論文の基本構成を理解する
環境問題・SDGsを扱う小論文は、基本的に次の4パートで構成すると読みやすくなります。
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導入(問題提起)
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現状分析
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自分の考え・提案
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結論(まとめ)
この構成を意識するだけで、論理の流れが明確になり、採点者に「理解力・論理性」が伝わります。
2. 導入(問題提起)の書き方
導入では、文章のテーマと自分が論じる視点を簡潔に提示します。
ポイント
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環境問題やSDGsの具体的な課題を1〜2文で示す
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自分が論じたい焦点を明確にする
例文
「近年、地球温暖化やプラスチックごみによる海洋汚染など、環境問題は深刻化している。このような現状を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けて私たちがどのような行動を取るべきかについて考察する。」
ポイントは、単なる問題の説明ではなく、「自分が何を論じるか」を提示することです。導入を読んだだけで、採点者に文章全体の意図が伝わる構成が理想です。
3. 現状分析の書き方
現状分析では、環境問題の原因や背景を具体的に示します。SDGsに関する数値や統計を簡単に引用すると説得力が増します。
ポイント
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原因・影響を整理する
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具体例を挙げる
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データや統計を簡単に触れると説得力が増す
例文
「例えば、世界の年間プラスチック廃棄量は約3億トンにのぼり、そのうち海洋に流出する量は約800万トンに達している。このままの状態が続けば、海洋生態系への影響は避けられず、漁業や観光業にも深刻な損害をもたらす可能性がある。」
このパートでは、課題の現状を正確に理解していることを示すことが重要です。単に「問題がある」と述べるだけでは弱く、具体的な事実やデータを用いることで文章の信頼性が増します。
4. 自分の考え・提案の書き方
最も評価されるのがこの部分です。問題の分析を踏まえ、具体的な解決策や自分の考えを論理的に述べます。
ポイント
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「誰が」「何を」「どのように」行動するかを具体的に書く
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現実性や実行可能性を意識する
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SDGsの目標との関連を示すと評価が高まる
例文
「この問題を解決するためには、個人レベルでのリサイクル意識の向上だけでなく、企業によるプラスチック製品の削減や代替素材の導入が必要である。例えば、欧州では生分解性素材を使用した製品の普及が進んでおり、国内でも同様の取り組みを促進する政策が求められる。」
ポイントは、抽象的な意見にとどまらず、具体的な行動や政策まで触れることです。また、SDGsの目標番号(例:目標12「つくる責任 つかう責任」)を示すと、文章の専門性も増します。
5. 結論(まとめ)の書き方
結論では、文章全体を簡潔にまとめ、再度自分の考えを強調します。
ポイント
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導入の問題提起に戻る形でまとめる
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自分の考えを簡潔に繰り返す
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行動の重要性を強調すると印象が良い
例文
「以上のように、環境問題は個人・企業・政府の協力が不可欠である。持続可能な社会を実現するためには、一人ひとりが意識を高め、具体的な行動に移すことが求められる。私たちが今行動することが、将来の地球環境を守ることにつながる。」
結論では文章全体を俯瞰し、読後に「論理の流れが整っている」と採点者に感じさせることが大切です。
6. 文章作成の実践テクニック
6-1. 「PREP法」を意識する
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Point(結論) → Reason(理由) → Example(具体例) → Point(結論の再提示)
文章全体にこの構成を意識すると、論理がぶれず読みやすい文章になります。
6-2. SDGsを軸に考える
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SDGs目標の番号や具体的なターゲットを意識して文章を作ると説得力が増します。
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例:目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など
6-3. 接続語で論理をつなぐ
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「なぜなら」「例えば」「したがって」「以上のことから」などを適切に使うと、文章全体が論理的に見えます。
7. 書く前に必ずやること
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テーマを明確にする
文章全体で何を論じるか決める -
事実・データを整理する
SDGsや環境問題の数値・事例を簡単にメモ -
導入・現状分析・自分の考え・結論の順で骨組みを作る
下書き段階で構成を固めると、文章の論理性が高まります
8. まとめ
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環境問題・SDGsの小論文は「論理的構成」が評価のポイント
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導入で問題提起、現状分析で背景説明、自分の考えで具体策、結論でまとめる
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SDGs目標や数値データを引用すると説得力が増す
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PREP法や接続語を使うと、論理の流れが明確になる
大学入試の小論文は、単に知識を並べるだけでは高評価は得られません。今回紹介した構成例を活用し、自分の意見を具体的に述べる練習を重ねることで、採点者に伝わる文章を書く力を身につけましょう。
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