ベルギーの詩人、アンリ・ミショー

Weekly Topic: My Favorite Poet

Shibashiba

好きな詩人と聞かれるとちょっと困ってしまうけれど、今回はアンリ・ミショーを挙げようと思います。

 

ミショーは19世期の最後の年である1899年に生まれ、1984年に没したベルギーの詩人。

ベルギーはフランス語とフラマン語(オランダ語に近い)、そしてドイツ語が公用語ですが、ミショーはフランス語の詩人です。

 

詩人を語るには、詩を紹介するのが一番でしょう。

 

例えば「風」le vent という詩の前半をちょっと訳してみましょう。

 

 風が波を海から引き剥がそうとする。が、波は海にしがみつく、当然さ、そして風は吹くことに固執する‥いや、固執などしていない、嵐や疾風となる時ですら、そんなことに固執してはいない。風は盲目的に、狂気のように、気が違ったように、完璧な静けさの中へ、凪の中へ、行こうとしているのさ、そこでようやく落ち着けるから、落ち着くことができるから。

 

 

この「風」とはなんと矛盾した存在でしょう!

「風」は誰でしょうか?

たぶんそれは、詩人自身のこと?


 
PexelsLuis Quinteroによる写真

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Shibashibaは、 フランス語や英語の本や記事を読むレッスンも行っています。翻訳経験を生かし、丁寧にご説明いたします。

This column was published by the author in their personal capacity.
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