中学受験では、主に説明文・物語文の読解・記述問題が出題されます。
そして語句の意味や漢字もその中に含まれて出題される、というようなイメージではないでしょうか。
中学受験の国語の文章は、難関校の場合は、読み込み対策と記述対策がかなり必要になりますが、どちらかというとどこまで読書に親しんでいるかが実力の分かれ目の印象です。
中学受験国語の場合、読書をしっかり行っている生徒さんの方が圧倒的に点数がよく、普段読書をあまりされていないタイプの生徒さんは国語を苦手にされる傾向があります。
中学受験国語では、どちらかというと、普段文章をどこまで読んでいると、ある程度問題に対峙できる印象です。
特に、選択肢問題に関しては、文章をきちんと読んでいれば、そうそう間違いにくい選択肢の構成となっています。
中学受験国語の点数を上げるためには、普段から本に親しんでおく、できれば低学年あたりから読書が習慣になっていることが望ましいです。
ただし、大学受験に向けての現代文は、中学受験までの国語にプラスアルファアの勉強が入ります。
確かに、中学受験までのように文章に触れる機会が多いに越したことはありません。
普段から文章に慣れ親しんでおくことほど、大切なことはありません。
しかし、中学受験の国語の時までのように、単に文章を読んでいるだけでは、実は大学受験の国語の点数は伸びにくくなります。
中学受験までは、どちらかというと国語は得意科目だったけれど、中学以降、国語の成績が少し伸び悩むという方が一定数いらっしゃいます。
これは、中学受験までの国語の成績が良かったので、国語の勉強といえば中学受験までの国語の勉強のように、文章(あるいは本を)一定量、読んでおけばそれで大丈夫と思われている方に多い傾向かもしれません。
中学校以降、特に大学受験の現代文で点数を取ろうと思うと、実は別の対策もしなくてはいけません。
それは現代文を読むための知識を入れるということです。
この知識というのは2つあります。
一つは、筆者の主張を見抜くための文章表現の知識。
もう一つは、現代文特有のキーワードに対する知識です。
一つ目の筆者の主張を見抜くための文章表現の知識についてですが、これは
例えば、AではなくB、AだけでなくBなど。
中学受験でも習うテクニックでもありますが、大学受験では、より一層、読み取り精度が必要になります。
こちらについてもまた述べようと思いますが、今回は2点目の現代文特有のキーワードに対する知識について書きたいと思います。
現代文を読むためには、実は現代文特有のキーワードの知識があることが大前提になります。
どんなキーワードかと申しますと、例えば「普遍」「特殊」「具体」「抽象」「絶対」「相対」「パラドックス(逆説)」などなど。
ここに挙げたのは必須でもあり、押さえておかないといけないキーワードのうちのごく一部です。
しかし、意外なことに学校で教わらないまま進んでしまうケースがほとんどです。
そのため、これらの語句の意味とその背景を知らないと、問題文を読んでいても筆者の言いたいことの半分も拾えていないという結果になりかねません。
大学受験に向けての課題の文章というのは、これらの知識を前提もしくは手掛かりにして、読んでいくものです。
となると、これらの知識を知らないまま読んでしまうと、そもそも文意を取れません。
もちろん、中学受験国語でも最難関中学校の場合は、実はこの大学受験国語特有のキーワードを知っておいた方がいい場合もあります。
中学受験最難関校の国語の問題文を見ていると、先ほど挙げたキーワードが出ていることもありますし、それが主題になっていることもあるからです。
ただ、中学受験国語の場合は、最難関を目指す場合を除き、そこまでこの現代文特有のキーワードに囚われすぎなくてもいいかと思います。
大切なのは、中学受験以降の現代文ではきちんと、現代文特有のキーワードとそれに付随するテーマの知識を頭に入れることができるかどうかです。
繰り返しになりますが、大学受験国語で伸び悩む場合、この現代文特有のキーワードが頭に入っていない、もしくはそもそも現代文特有のキーワードがあるということを知らないケースが大半です。
そして、そのまま受験直前期を迎えてしまったり、運よく気付けたとしても受験年度の夏に初めて知るというケースが大半です。
もう少し早めで気づけていたら、かなり楽だったのにと思われることがほとんどですので、早めに現代文特有のキーワードは頭に入れておきましょう。
例えば、先ほど挙げた語句はどれも最重要キーワードに分類されますが、その中の一つ「パラドックス」を挙げてみましょう。
「パラドックス」、日常生活ではあまり聞き慣れない言葉ですね。
パラドックスは、言い換えれば逆説という意味です。
このパラドックス(逆説)、現代文特有のキーワードです。
文章中でも、文意を押さえる際に非常に重要な語句になります。
パラドックス(逆説)というのは、
一見、(常識的に考えると)Aのように見えて、実はB(で考えることが正解)だった
という表現を指します。
有名なものでは、
「いそがば、まわれ」という例えが挙げられます。
これは典型的な逆説表現です。
「いそがば、まわれ」の意味を解釈すると、
【いそいでいるならば、一見(常識的に考えると)近道をした方が目的地に早く着くように思われる、
しかし、実は、普段使い慣れていない近道や危険な短縮路を使うことは、道に迷ったり、事故につながったりしやすく、時間がかかるものだ、
そのため、少し遠回りであったり、時間がかかってしまうかもしれないが、安全で失敗のしにくい確実な道を選んだ方が、いい。
結局その方が、近道をした時より、早く目的地につく。】
となります。
常識的に考えると、もしくは世間一般論的に考えると近道をしたほうがいいように思われるけど、実は遠回りの方がはやかった!という全く逆の結論が導き出されていますね。
この展開が逆説表現です。
この「パラドックス(逆説)」表現は結構な確率で現代文でお目にかかります。
こういった現代文特有のキーワードは知らないと、よくわからないから読み飛ばすということにつながってしまいます。
しかし、実はこの現代文特有のキーワードにこそ、筆者の主張が込められていたりします。
また、筆者の主張を全部書いてくれているといいのですが、大抵の文章は現代文特有のキーワードを手掛かりにして、筆者の主張を正確に読み取っていくことが求められます。
先ほどの、「いそがば、まわれ」の逆説表現を自分で解釈することが求められるようなイメージです。
「いそがば、まわれ」だとある程度、よく知られている言葉なので、自分で検討をつけながら解釈できますが、現代文の場合、かなり難解な文章表現、しかも初見の問題を解釈することになります。
そのため、その解釈の手がかりとなる特有のキーワードを知らないとかなり致命的です。
もし、現代文の勉強をしていて、今まで、ただ単に問題文を読んでいただけだという方は、特有のキーワードの勉強をしてみてはいかがでしょうか。
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