私は高校でバドミントン部を退部すると、
科学部・クイズ愛好会、鐵道研究会とオタク街道を突き進んできた。
部長になるほどのカリスマや熱や愛はなく、
マニア未満ファン以上のライト層のつもりだ。
そのため入部・入会して後悔したことは結構ある。
大学の鐵道研究会はガチなオタクばっかりだった。
「鐵道研究会に入ったら電車で旅行できるかな!」
なんて軽い気持ちで入会して後悔した。
「山手線言えないの?」
「模型持ってないの?」
「時刻表は?」
「カメラは?」
夏合宿で下関まで行ったとき、
私の知識と装備のなさに他のオタク会員はドン引きだった。
(カメラなんてケータイあれば良いじゃん!)
(時刻表なんて計画表に全部書いてあるじゃん!)
こっちがドン引きだった。
未だにそう思っているので時刻表も一眼レフも買ったことはない。
鉄道マニアとしては失格なのかもしれない。
でも、ライト層のつもりでいたため沼に浸かることはなかった。
(この行動は良くない)
(この発言はマズい)
という普通の感性は失われなかったと思う。
越えてはいけない一線は越えずに留まった。
こんな深い世界だけど居心地は悪くなかった。
ゲームやアニメの話ができる人が多く盛り上がったのだ。
特に私は大学時代に留年していたため友達が少なく、
話して楽しい仲間というのは貴重な存在だった。
毎週行われた仲間との残念会やカラオケでの熱唱は今でも鮮明に覚えている。
鉄分(鐵道研究会としての鉄道分)が足りなくても楽しめたから、
次第に残念会メンバーも増えていった。
冬は寒いからみんなで鍋を食べた。
缶酎ハイを勧められた人が、
「ありがとう。これ持ち帰って飲むから」
なんて言ったり、
「柿の葉寿司の葉っぱは美味いですね!」
なんてそのままバリバリ食べたり、
トンデモなことが起こっていたが、全員爆笑してネタにしていた。
去年zoomでオンライン残念会をしたら、
仲間はあまり変わってなかった。
仕事してリア充にはなっていたかもしれないが、
相変わらずの非モテ、オタクっぷりで安心した。
「ケイスケ、結婚した?」
「してないよ。そういう○○は?」
「もちろんしてない」
「そうだよね」
「そういえば△△が結婚したってよ」
「ええ!あの△△が!?」
「許せない!ケイスケだって結婚してないのに」
「何だよそれ」
「あいつ裏切りやがったな!」
なんて酷い会話が飛び交った。
みんな笑っていたから冗談で言っていたのだろう。
どうやら、オタクは目に見えない固い絆で結ばれているようだ。