古文の文章を読んでいると、「読むのに時間がかかって最後までたどり着けない」「結局、何を言っているのか分からない」といった悩みを抱えている人は多いと思います。現代文とは語順も言葉も違い、内容を理解するのにひと苦労…。ですが、コツさえ掴めば古文もスムーズに読めるようになります。
この記事では、受験勉強における“古文の速読”をテーマに、読むスピードと理解力を同時に高めるための具体的なテクニックをご紹介します。
◆ 速読の出発点は「基礎力の定着」から
速読というと、「とにかく速く目を動かせばいい」と思われがちですが、古文の場合、それだけでは意味が通じません。読む速さは、どれだけ内容を“知っているか”“理解しているか”で決まってきます。
まずは以下の3つをしっかりと身につけておきましょう。
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古文単語の語彙力(300語程度):意味だけでなく、現代語とのニュアンスの違いも意識して覚えましょう。
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助動詞の使い方:活用・意味・接続をしっかり理解することで、文章の読解がぐっと楽になります。
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敬語のパターンと使い分け:尊敬・謙譲・丁寧語の見分け方と意味を押さえることで、登場人物の関係も見えてきます。
これらの基礎がしっかりしていないと、いくら読んでも内容がぼやけてしまいます。逆に言えば、基礎があればあるほど、読むスピードも上がってくるのです。
◆ ステップ①:文の構造をつかみながら読む
古文を読む際には、「文の構成を意識する」ことがとても大切です。特に助動詞と係り結びは、速読を助ける重要な手がかりになります。
◎ 助動詞を目印にして文を区切る
古文では、助動詞が文の“しめくくり”や“切れ目”になることが多いです。たとえば「けり」「べし」「なり」「たり」などを見つけたら、そこをひとつのまとまりと考えて、意味を整理しながら読み進めると内容が入りやすくなります。
◎ 係り結びで文末の形を予想する
「ぞ」「なむ」「や」「か」などの係助詞が登場したときは、文末が連体形になります。「こそ」の場合は已然形。このように結びの形をあらかじめ予想しておくと、文の構造が分かりやすくなり、読み返す回数が減ってスムーズに読めるようになります。
◆ ステップ②:主語の把握で内容が明確に
古文では主語が省略されることが多いため、誰が何をしているのか分かりづらくなりがちです。そこで、文章を読むときには、登場人物や主語に注意して読み進める意識を持ちましょう。
◎ 敬語を活用して登場人物を特定する
敬語の種類によって、誰が行動しているのか、誰に向けた話なのかを判断するヒントになります。
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尊敬語(例:「給ふ」「おはす」):主語は地位の高い人物であることが多い
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謙譲語(例:「申す」「参る」):話し手が相手に対してへりくだっている
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丁寧語(例:「侍り」「候ふ」):話し手の言葉づかいとして文末に使われることが多い
誰に対してどんな敬語が使われているかを見ることで、登場人物の関係性や主語が自然と見えてきます。
◎ 主語は前から引き継がれていることが多い
一度主語が示されると、その後も同じ人物の話が続くのが一般的です。特別な変化がない限り、前文の主語をそのまま引き継いで読むように意識しましょう。新しい人物が登場した時だけ、誰のことかをしっかり確認すれば大丈夫です。
◆ ステップ③:文脈から意味を読み取る力をつける
分からない単語や表現に出会っても、そこで止まらないことが古文速読では重要です。前後の文脈から意味を推測しながら読むことで、文章全体の流れをつかみやすくなります。
◎ 接続語に注目して話の展開を予測する
古文にも現代文のように、話の流れを示す接続語があります。これらに注意して読むだけでも、内容の把握が格段に楽になります。
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逆接(例:「されど」「しかれども」):前の内容とは反対の展開
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順接(例:「されば」「ゆゑに」):因果関係や理由づけ
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追加(例:「また」「さらに」):前の内容に続く情報が出てくる
こうした接続表現に気づくだけでも、文章全体の流れを読みやすくなります。
◎ 古文に多い“お決まりの展開”を押さえておこう
古文の物語には、よくある展開のパターンが存在します。代表的なものを知っておくだけでも、「このあとどうなるか」の見通しが立ち、読解がしやすくなります。
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恋のやり取り → 和歌を送り合う → 結ばれる(または失恋)
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僧侶が修行 → 悟りを得る → 世の無常を語る
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帝や貴族が夢を見る → 啓示を受けて行動する
このような“定番パターン”を知っておくことは、速読力を育てるうえでも大きな武器になります。
◆ ステップ④:本文を読む前に設問チェックを!
速く読むためには、「読む目的をはっきりさせる」ことがとても大切です。受験では、ただ本文を読んで終わりではなく、問題を解くために読むわけですから、最初に設問を確認しておきましょう。
◎ 問題→選択肢→本文、という順で取り組む
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まず設問を読む:どんな問いが出ているのかを把握
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選択肢をざっと確認:どの部分が問われているのかを予想
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本文を読む:必要な情報を意識して読み進める
この流れで読むと、重要な情報に自然と目が向くようになり、効率よく問題に答えられるようになります。
◆ 日々の練習で速読力は伸ばせる
速読力は、一朝一夕で身につくものではありませんが、毎日の積み重ねで確実に力がついていきます。以下のようなトレーニングを日課にしてみましょう。
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毎日音読:古文を1ページ、意味を意識しながら声に出して読む
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シャドーイング:音声を聞いて、そのすぐ後にまねして発音する練習
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文法ミニ確認:1日1助動詞など、小さく区切って復習
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時間を決めた問題演習:実際の試験を意識した練習で時間感覚を養う
◆ まとめ:古文は“慣れ”と“型”を味方につければ速く読める!
古文は決して「センスがある人だけが読める」ものではありません。文法、語彙、文脈の捉え方、そして展開パターンを理解し、日々の練習を重ねていくことで、誰でも速く正確に読めるようになります。
「古文=難しい」というイメージにとらわれず、今回紹介した方法を少しずつ試していきましょう。読むスピードが上がれば、それだけ内容理解も深まり、得点力にもつながっていきますよ。
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