次に彼女に再会したのは、僕が大学生になった頃だった。
彼女は市役所で働いていた。
どういう風の吹き回しかわからないが、2人で居酒屋に行くことになった。
居酒屋では、旅行の話になった。
彼女は男性に「仙台に行こう」と誘われたらしい。
僕も仙台が好きだったので、
「それはいいね!」と観光スポットの話をした。
でも、つい口をついて出た。
「仙台に行くなら、遠出して一緒に東京に行こうよ。」
それは対抗心から出た言葉ではなかった。
旅行慣れしていないように見える彼女を連れて行きたいと思っただけだ。
その後、カクテルを2本目まで飲んだところで、僕はギブアップした。
お酒に弱い僕としては、これでも頑張った方だと思う。
でも、残ったグラスのカシスウーロンを見て、
なんだか申し訳ない気持ちになった。
そして、結局、彼女が僕の分まできっちり奢ってくれた。
まだ就職もしていない僕には、どうしても格好がつかなかった。
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