古文が苦手な高校生に話を聞くと、決まってこう言います。
「単語が覚えられない」
「現代語と意味が違って混乱する」
「暗記するのがつまらなくて続かない」
古文単語は、英単語や漢字のように意味を一つひとつ覚えていく必要がありますが、やみくもな丸暗記ではなかなか定着しません。特に古文初心者の場合、「何を」「どうやって」覚えればよいのかが分からず、無駄な時間を費やしてしまいがちです。
この記事では、古文単語を効率よく・確実に覚えるための基本方針と具体的な学習方法を紹介します。「今から古文を始める人」「一度覚えたはずなのにテストで点が取れない人」にとって、必ず役立つ内容となっています。
1. 古文単語は“訳語を覚える”のではない
まず大前提として理解しておきたいのは、「古文単語=意味の暗記」では不十分だということです。
たとえば「おかし」という単語。現代語の「おかしい」ではありません。
このように、古文単語には複数の意味があり、現代語とはニュアンスが異なるものが多くあります。単純に訳語を一語だけ覚えても、実際の文章では使えないのです。
✅ポイント:単語の「イメージ」で覚える
意味を一つずつ覚えるのではなく、その単語が持つ**イメージ(感覚)**を捉えることが重要です。
「おかし」=「ちょっと華やかで、かわいらしい感じ」
→「趣がある」「美しい」「愛らしい」「風情がある」といった意味をすべてカバーできます。
古文単語の学習では、こうした“ざっくりした感覚”をつかむことで、文章中の意味を正しく読み取れるようになります。
2. 覚えるべき古文単語の範囲は?
古文単語帳は300語〜600語収録されているものが多いですが、すべてを完璧に覚える必要はありません。最初は以下の方針で範囲を絞るのが効果的です。
【初学者がまず覚えるべき古文単語】
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①出題頻度が高い基本単語200語
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②敬語表現(与ふ・奉る・候ふ など)
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③紛らわしい意味変化を起こす単語(あはれ・あやし・ありがたし など)
おすすめの古文単語帳
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『古文単語ゴロゴ』(文英堂)
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『マドンナ古文単語』(学研)
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『速読古文単語』(Z会)
特に初心者には、語呂合わせやイラストがついている単語帳が向いています。楽しみながら繰り返せるものを選ぶことが定着への近道です。
3. 効果的な古文単語の覚え方
①【インプット】1日10語、7日で70語を繰り返す
一度に大量に覚えるのではなく、「少量を高回転」で回すことが記憶の定着につながります。
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1日目:10語
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2日目:新たな10語+前日の10語を復習
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3日目:新たな10語+過去20語を復習
このように、**「新出単語+復習」**をセットにして学習すると、記憶が強化されます。1週間で70語を学習し、翌週にまた繰り返すのが理想です。
②【アウトプット】問題演習とセットで覚える
単語帳を読むだけでは「知っているつもり」になりがちです。必ず確認問題を解いて、「使える知識」になっているかチェックしましょう。
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語義選択(意味を選ぶ)
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語句補充(文の空欄に入れる)
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同義語・反義語問題
学校の小テストや、市販の問題集(『古文単語330 基礎ドリル』など)を使って、アウトプットを重ねましょう。
4. 苦手を克服するコツ
①現代語と混同しやすい単語に注意
古文単語の中には、現代語と形が似ているのに意味が全然違うものがたくさんあります。
こういった単語は、「現代語との違い」を意識して覚えることがポイントです。「意味のズレに注目する単語リスト」を自作しておくと、復習時に効果的です。
②類義語・対義語でまとめて覚える
たとえば:
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「をかし」= 美しい・趣がある(陽)
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「あはれ」= しみじみ・情緒がある(陰)
また、
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「ありがたし」= 滅多にない(=すばらしい)
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「にくし」= 気にくわない(=嫌い)
このように、似た意味・逆の意味をセットにして覚えると、整理されて記憶に残りやすくなります。
③音読でリズム記憶を活用
単語帳の語呂合わせや例文は、黙読よりも音読したほうが頭に残ります。
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毎日10分だけ音読
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スマホの録音機能で自分の音読を録って聞き直す
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友達や家族にクイズを出してもらう
音読には「目・耳・口・脳」を同時に使う効果があり、記憶の定着に最も効果的です。
5. 保護者の方にできるサポート
高校生が古文単語に苦手意識を持つ理由の多くは、「どうやって勉強すればいいか分からないこと」です。
保護者の方が以下の点をサポートするだけでも、学習効果が大きく上がります。
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単語カードで一緒にクイズ形式で出題してあげる
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「何語覚えたか」「どれが難しかったか」を日ごとに確認してあげる
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学習習慣を見守り、「よく続けているね」と励ます
古文は、慣れるまでが大変ですが、単語を少しずつ積み重ねていくことで確実に読解力が向上します。焦らず、長期的な視点で見守ってあげましょう。
まとめ|古文単語は“感覚と習慣”で攻略できる!
古文単語の学習は、単なる暗記ではなく「古文世界の感覚に慣れるプロセス」です。初心者がつまずきやすいポイントを押さえ、次のことを意識して取り組んでみましょう。
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単語の「イメージ」で覚える(訳語を丸暗記しない)
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頻出単語200語から始める
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アウトプットと音読を組み合わせる
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類義語・対義語で整理する
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継続と習慣化が最大の武器
古文単語を覚えることで、読解スピードも正確さも格段に上がります。古文が「読める!」「意味が分かる!」と感じられるようになると、得点も自然とついてきます。
まずは一歩、今日から始めてみましょう。
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