複雑化する大学受験の中で戸惑う受験生や保護者
「私は受験生で、〇〇大学〇〇学部を志望しています。受験対策として計画をきちんと立て勉強しています。」
もちろんこのような方は素晴らしく感じますし、大学受験の先には合格という輝きがうっすらと見えているのでは感じます。
けれども、体験授業を通じてみると、学習方法がわからない、志望大学は決めていない、総合型選抜ってなんですかというような方もおられます。親御さんの方が熱心で入試制度について詳しく理解されている場合などもよくあることです。
HPを始めあらゆるさまざまなメディアが大学受験について発信し、喧伝していますが、受験生お一人おひとりが必要とされる情報をどのように見つけ整理し、自分が必要とされている情報を的確につかむ方法を持っておられないという現実もあります。
つまり情報過多の中、情報取得の方法が分からないのであちらこちらと迷っておられる、どの情報を信じればいい、という非常に困惑されているのでご自分の方向性を見つけることが困難になっているといっても過言ではありません。
情報リテラシーとか名前は目を引きますが、情報の分類・整理・取得は高等学校でも教えておられるのですかね。
画面越しに困った受験生の顔を見ていると、いつも気の毒な思いを感じつつ、受験生や親御さんのお話しをじっくりお聞きしています。
これ以上は話が脱線しそうなので、受験生の方の息抜きの一つとして、よもやま話2に移ることとします。
決まらない、進まない~企業から来た教員が驚いたこととは~
大学というところは、とかく物事がすっと決まらない組織です。
世界市場での激烈で過酷な競争の中で企業は、プロジェクトや企画を立ち上げて非常に迅速に物事を決めていきます。
ところがです。
大学は、物事がなかなか決まらない。議論して、また議論して、またまた議論して、結局結論は出ず、お蔵入りということも珍しいことではありません。
しっかりと時間をかけたあの議論は何だったんだとなりますが、時間が経ってしまえば意識の中に残らず忘却の彼方となってしまいます。
また伝統ある大学、歴史を積み重ねた重厚な大学が多くありますが、こうした大学では学部という組織がしっかりしていて、全学で施策を進める場合も学長はその調整に大変苦労されます。
学部横断的なプロジェクトの推進というと、なかなか先進的!と快哉を叫んでしまいそうになることもありましたが、その多くはうまくいったという記憶が薄いです。賛同する学部もあればつぶそうとする学部もあって、学部内をまとめるのも大変なのにまして学部を串刺しして物事を進めるとなると至難の業となってしまいます。
理工系の学部に所属していた際のことです。
大学と企業が共同研究をしていて、その企業の方が大学教員として来られることもよくありました。
着任されてしばらく経った頃、ある先生曰く、
「大学って、物事決まらんね。企業ならこんなことしてるとおいてけぼりになって、どんどん後退するよ。」
と驚きとともにう~んと唸っておられたことを覚えています。
けれどもこれも大学の風土なのです。
大学を離れて少しを時が経ってしまったので、現在はスピーディーに意思決定がなされ、大学独自のプロジェクトや企画も大きく推進されているのではと感じています。
ただ、学部の壁はまだまだしっかりしているだろうと考えていますが。
今回も字数が1500字を超えましたので、その2はこの辺で終わるとして、つづきをその3に預けたいと思います。
受験生の方、少しは息抜きになったでしょうか。
職員として働いていると、学生の時に触れた、見た、聞いた大学とは異なった側面、いわゆる裏の顔を目にすることもあります。
今から振り返ってみると少し感傷的な思い出なのですが。
そんな大学職員の仕事に興味が湧いてきた方へ。
どんなふうに働くのか、どんな準備をすればいいのか、気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。志望動機の書き方などお手伝いできるかもしれません。
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