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【大学入試古文】『徒然草』の頻出段と設問パターン分析

AZUKI

 

——得点源に変えるための読解の“型”——

古典随筆の中でも、大学入試で群を抜いて出題されるのが吉田兼好の『徒然草』です。共通テストはもちろん、国公立二次・私大の記述式でも頻出で、「古文が得意な受験生」は例外なく『徒然草』を読解の軸として扱っています。文章量が比較的短く、作者の価値観が一貫しているため、“パターン化された読解法”が非常に役立つ作品でもあります。

この記事では、よく出る段(章段)と、そこに付随する典型的な設問パターンをまとめます。
最後には、今日から使える『徒然草』対策の勉強法も解説します。


■ 1. 『徒然草』が入試で頻出な理由

多くの大学が『徒然草』を好んで出題する理由は三つあります。

① 価値観・主題が現代にも応用しやすい

「無常観」「理想の生き方」「人間の愚かさ」「教養」「身だしなみ」など、普遍的で現代人にも理解しやすいテーマが多いからです。

② 文章量が適度で、設問を作りやすい

短い段でも内容に“起承転結”があり、読解問題に加工しやすい構造をしています。

③ 語句・文法の難度が中〜上級

助動詞の識別、敬語、係り結び、古語の知識をバランス良く問えるため、受験生の基礎力がはっきり分かれます。


■ 2. 入試でよく出る頻出段

ここでは、特に出題頻度が高い段を厳選して解説します。


● ① 第52段「仁和寺にある法師」

最頻出レベルの章段。
主人公の法師が、石清水八幡宮の参詣で恥をかく話。

主題:経験や教養の不足を戒める
ポイント:兼好の価値観である「世間知らずを恥じよ」という思想がよく出る。


● ② 第84段「高名の木登り」

木登り職人が弟子を指導する話。

主題:指導者の心得
ポイント:危険な場面ほど簡単に見えても注意が必要。
現代の教育論・仕事論とも重なるため、設問が作りやすい。


● ③ 第109段「堀川夜討ちのこと」

平家物語の裏話のような内容で、時代背景も問われやすい。

主題:計画の浅はかさ、人間の愚かさ
ポイント:状況把握・人物関係の読解力が必要。


● ④ 第150段「花は盛りに」

「花は咲き誇っている瞬間にこそ価値がある」という段。

主題:無常観、美の捉え方
ポイント:兼好の美意識がわかりやすく、問われやすい。


● ⑤ 第188段「つれづれなるままに」

冒頭段。「徒然草がどういう作品なのか」を理解させるための基本問題に使われる。

主題:随筆の冒頭としての心情
ポイント:作者の心の動き・発想の飛躍を読む。


■ 3. 『徒然草』でよく出る設問パターン

以下の五つが最も多い形式です。


◆ ① 心情説明

「このときの兼好(または人物)の気持ちを説明せよ」
→ 各段にある“価値観”の把握がカギ。

例:
・恥ずかしさ
・あきれ
・慎重さを重んじる
・無常感


◆ ② 価値観の抽出

『徒然草』は思想書として扱われることも多く、「兼好の考え」を問う設問が大量に出ます。

例:
・経験や教養がないことの危険性
・節度ある生き方の推奨
・無駄を排した簡素な生活観
・人の愚かさへの嘆き


◆ ③ 敬語・文法の識別

助動詞の「けり」「き」「けむ」「む」など推量・回想系がよく問われる。
また、敬語は「尊敬と謙譲の主語の違い」に注意。


◆ ④ 文章の要点まとめ

共通テスト形式では「筆者の主張をまとめる」問題が増加。

ポイント:
・主題を10〜15字で抽出
・人物の失敗の理由
・教訓部分を簡潔にまとめる


◆ ⑤ 指示語の内容説明

古文では指示語が非常に重要。
特に随筆は「前後のつながり」が緩やかなので、丁寧な読解が必要。


■ 4. 『徒然草』読解で絶対に外せない“型”

読解の軸は次の3ステップ。


● ステップ1:人物の行動 → 結果 → 兼好的価値観

『徒然草』は「人物が○○をした → 失敗した(または成功した) → 兼好の価値観の提示」という構造が多い。


● ステップ2:教訓部分を最優先で読む

ほとんどの段で、最後に筆者の主張が明記される。
ここを押さえるだけで「要旨問題」が8割解ける。


● ステップ3:無常観・愚かさ・節制の美意識をセットで覚える

兼好は一貫して以下の価値観を持つ。

・人は愚かである
・過信は失敗のもと
・美は“移ろい”の中にある
・慎ましい態度こそ上品

この枠組みで段を読むと、設問の意図が見えやすくなる。


■ 5. 今日からできる『徒然草』対策の勉強法


① 頻出段を「主題」とセットで暗記する

「仁和寺→経験不足」「高名の木登り→指導法」というように“段名+要点”で覚えておくと、共通テストでも時間短縮になる。


② 読解ノートを作る

次の3つを必ず書く:

  1. 段の内容を2〜3行で要約

  2. 教訓(筆者の主張)

  3. よく出る文法・語句


③ 音読で語順と語感を身につける

徒然草はリズムが良く、音読すると内容理解が急速に深まる。
1章を10回音読するだけでも構文感覚が変わる。


④ 過去問で「設問パターン」を確認

本文を覚える必要はないが、どの段がどう問われたかは必ずチェックする。
「知識問題→内容説明→現代語訳→要旨」という流れが鉄板。


■ まとめ

『徒然草』は、大学入試で最も得点に変わりやすい古文作品です。
頻出段、典型的な設問パターン、兼好の価値観をセットで理解すれば、偏差値55→65レベルの伸びは十分可能です。

特に、
・主題の抽出
・価値観の把握
・人物行動の因果関係の理解
この三つを押さえれば、どの大学の問題でも安定して点が取れるようになります。

古文が苦手な場合でも、『徒然草』から入ると読解力全体の土台が大きく強化されます。
ぜひ、この記事の内容を使い、得点源として育ててください。

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This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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