英語を話していると、自分の声だけ浮いているように感じる。
英語らしく話そうとすると、どこか演技しているようで気恥ずかしい。
でも、日本語のままだと周りの英語話者と流れが合わない。
どう発音すればいいのかわからない。頑張って真似しているのに、ぎこちなくなる。
そんな感覚はありませんか?
実はこれ、修正してもらったり、見本を見せてもらって真似したり、そういった、いわゆる「発音の練習量」だけの問題ではないのかもしれません。
英語と日本語では、言葉の立ち上がり方だけでなく、身体の使われ方そのものにも、かなり大きな違いがあるからです。
前回までのコラムでは、
・どこへ意識が向きやすいのか
・どう言葉が立ち上がるのか
・何を中心に状況を捉えるのか
その流れ自体がかなり違う、という話をしてきました。
そして実は、その違いは単に「考え方」の違いではありません。
本来、人が言葉を話すときは、見えているものや、感じている刺激、向いている意識そのものが、自然と身体の響きにも表れてきます。
英語もまた、そういった身体感覚と深く結びついた言語です。
だから英語では、「何を言うか」だけでなく、「どんな感覚でその言葉を発しているか」まで、声にかなり表れやすい。
英語になると、どこか演技しているように感じたり、逆に日本語のままだと、周りから少し浮いているように感じたりするのも、その違いと無関係ではないのかもしれません。
日本語では、喉や舌が常に少しスタンバイしているような感覚があります。
少なくとも私自身が長年観察してきた中では、日本語話者の方には、完全に響きを保ったまま存在しているというより、「次にすぐ動ける状態」を細かく維持しているような感覚が見られることがあります。
だから、小さく速い切り替えがかなり頻繁に起きています。
息も、一気に大量に流しているわけではなく、音ごとにごく軽く勢いをつけながら進んでいく感覚があります。
一方英語では、毎回細かく作り直すというより、まず響きや空間そのものが存在していて、その中で響きが並んでいく感覚です。
だから英語話者の声には、口先ではなく、身体全体で響いているような感覚があります。
しかも英語話者は、単に「音」を出しているわけではありません。
そのとき見えているもの。感じている刺激。向いている意識。
そういったものが、身体全体の響きとして同時に立ち上がっています。
だから英語の音は、口先だけで真似しようとしても、どこか違和感が残りやすい。
響きだけでなく、「どんな感触を、どんな流れで味わっているか」そのものが関わっているからです。
今、試しに、
「今日はちょっと疲れたな」
と日本語で言ってみてください。
次に、
"I'm a little tired today."
と英語で言ってみてください。
発音を真似しなくても大丈夫です。
その代わり、喉、口、息、身体のどこが先に動こうとしているかだけ、少し観察してみてください。
もしかすると、日本語では細かく準備している感じがあり、英語では少し違う感覚があるかもしれません。
ところが、日本語側の感覚のまま英語を話そうとすると、一つ一つをしっかり粒として固定しようとしてしまいやすい。
すると、
・響きが途中で切れやすくなる
・口や喉が固定されやすくなる
・空間が狭くなる
・周りの英語から浮きやすくなる
ということが起こります。
これが、
「英語を話すと妙に疲れる」
「ぎこちなくなる」
「うまく流れに乗れない」
感覚につながっていきます。
しかも多くの人は、「英語らしく話さなきゃ」と思った瞬間に、さらに喉や舌を緊張させやすくなります。
でも実際の英語は、緊張させたり力んだりするというより、響きの空間そのものを保ちながら、その中で自然に音が並んでいく感覚に近いのです。
だから大切なのは、外から見える口の形だけを真似したり、日本語基準で聞き取った音を闇雲に真似することではありません。
まずは英語を聞いたときに、
「この人はどんな空間の中で話しているんだろう」
ということを、少しだけ意識してみてください。
口より先に、響き。
音より先に、流れ。
そうやって少しずつ観察していくと、最初は捉えどころのなかった英語が、少しずつ違うものとして聞こえ始めます。
そして、その感覚が身体の中に蓄積していくことで、英語の響きそのものが、少しずつ自分の感覚になっていく。
それが、「聞けるようになる」ことにも、「自然に話せるようになる」ことにもつながっていきます。
発音は、単なる口の形や音程のコントロールではありません。
どんな響きの空間の中で、何を感じながら、どう言葉が立ち上がっているのか。
実はその感覚そのものが、英語のOSと深くつながっています。
次回は、
「なぜ英語は、あんなに速く聞こえるのか」
について、もう少し詳しく見ていきます。
プロフィール
英語講師のNaoです。日本育ちのまま英語を習得し、TOEIC990点取得(複数回)。20年以上、膨大な数の学習者を指導しながら、「なぜ話せないのか」「何が効くのか」を観察し続けてきた結果たどり着いたのが、処理構造そのものを整えるというアプローチです。私のレッスンの目的は、英語を自立して吸収できる土台を作ることです。その土台が整ったとき、英語は先生なしでも育ち続けるものになります。そこまでお連れすることを、使命としています。
このテーマについて、少しずつ続きを書いていく予定です。
同じ内容をnoteでも公開しています。→ note
日本語コラムと合わせて、英語での発信(Substack)も少しずつ増やしていく予定です。→ Substack
▼気になった方へ
まずは気軽にお話しませんか?(20分・2,000P)→ 受講相談
なぜ話せないのかを一緒に整理したい方(45分・4,200P)→ 英会話の学び方コーチング
発音と文法、両方を一度に体感したい方・初回限定(90分・7,200P)→ 英語の発音矯正(アメリカ英語)+ネイティブ感覚の英文法
「写真:夫撮影」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前のコラム:
次のコラム:
#5 なぜ英語は、あんなに速く聞こえるのか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
回应 (0)