
ブラジルには多くの日系企業が進出しており、毎年たくさんの日本人が仕事のためにブラジルへ赴任しています。
新しい国で生活を始めるときは、言葉を学ぶことはもちろん大切ですが、その国ならではのコミュニケーションの特徴を知っておくことも、仕事や毎日の生活をより楽しく、円滑なものにしてくれます。
ブラジルで暮らし始めると、多くの方が「人との距離が近いな」と感じる場面に出会います。
例えば、マンションのエレベーターに乗ると、管理人さんが笑顔で、
「おはようございます。お元気ですか。」
と声をかけてくれます。
配車アプリの車に乗れば、
「今日は渋滞していますね。」
と運転手さんが話しかけてくることもあります。
レストランでは、料理を運びながら店員さんが、
「今日は暑いですね。」
と気軽に話しかけてくれることも珍しくありません。
会社でも、会議が始まる前に、
「週末は何をしましたか。」
「ブラジルにはもう慣れましたか。」
そんな何気ない会話が交わされることもよくあります。
日本では、仕事の場面ではまず本題から話を始めることも少なくありません。
そのため、ブラジルで仕事の前に自然と雑談が始まると、「仕事の前にこんなに話をするんだ」と新鮮に感じる方もいるでしょう。
もちろん、日本でも人との信頼関係はとても大切にされています。
ただ、その築き方には少し違いがあります。
ブラジルでは、短い雑談を交わすことで相手との距離を縮め、安心して話せる雰囲気をつくることがよくあります。
そのため、仕事の話に入る前に、まず少し会話を楽しむことも自然なコミュニケーションの一つとして受け入れられています。
もちろん、どちらのやり方が良いということではありません。
人との信頼関係を築く方法が少し違うだけなのです。
私は、この違いを野球に例えて説明することがあります。
野球では、一人ひとりが自分の役割を果たすことはもちろん大切です。
しかし、それだけでは強いチームにはなれません。
選手同士がお互いを信頼し、自然に声を掛け合いながらプレーできることも、良いチームづくりには欠かせません。
ブラジルの職場にも、それと少し似たところがあります。
仕事の能力や経験だけではなく、普段の何気ない会話を通して相手を知り、少しずつ信頼関係を築いていくことも大切にされています。
もしブラジルで、
「週末はどうでしたか。」
「サンパウロは気に入っていますか。」
と話しかけられたら、あまり難しく考える必要はありません。
長く話す必要もありません。
「とても楽しかったです。」
「少しずつ慣れてきました。」
そのくらいの短い返事で十分です。
その一言がきっかけとなって会話が広がり、新しい人とのつながりが生まれることもあります。
言語を学ぶということは、単語や文法を覚えることだけではありません。
その国の人が、どのように相手と向き合い、どのように人との信頼関係を築いていくのかを知ることでもあります。
ブラジルでは、その第一歩が、ほんの短い雑談であることがよくあります。
「お元気ですか。」
そんな一言が、人と人との距離を縮め、新しい出会いや信頼関係につながることもあるのです。
もしブラジルで働くことになったら、最初にどんな一言をかけますか。
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