むずかしい日本語⑯「手前(てまえ)味噌(みそ)」

Macchan

「手前(てまえ)味噌(みそ)」

「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが……。」
こんな言葉(ことば)を聞(き)いたことがありますか?
「手前(てまえ)味噌(みそ)」は、自分(じぶん)のことや、自分(じぶん)がしたことを、
自分(じぶん)でほめるときに使(つか)う表現(ひょうげん)です。


「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが……」とは?

たとえば、自分(じぶん)が作(つく)った料理(りょうり)について、
「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが、このカレーはとてもおいしくできました。」
と言(い)うことができます。これは、
「自分(じぶん)で言(い)うのは少(すこ)し恥(は)ずかしいですが、
自分(じぶん)でほめることができるくらい、このカレーはとてもおいしくできました。」
というニュアンスです。
自分(じぶん)のことをほめるときに、
少(すこ)し謙遜(けんそん)しながら言(い)う表現(ひょうげん)です。


なぜ「味噌(みそ)」?

「手前(てまえ)味噌(みそ)」は、
昔(むかし)の日本(にほん)の生活(せいかつ)と関係(かんけい)があります。
昔(むかし)は、家(いえ)で味噌(みそ)を作(つく)っていました。
それぞれの家(いえ)で作(つく)った味噌(みそ)を、
「うちの味噌(みそ)のほうがおいしい」と自慢(じまん)することがあったそうです。
そこから、「自分(じぶん)で作(つく)ったものを、自分(じぶん)でほめる」
という意味(いみ)で、
「手前(てまえ)味噌(みそ)」という言葉(ことば)が使(つか)われるようになりました。


手前(てまえ)味噌(みそ)の手前(てまえ)

「手前(てまえ)」には、もともと「自分(じぶん)の側(がわ)」
「自分(じぶん)のところ」という意味があります。
たとえば、「手前(てまえ)ども」は
「私(わたし)たち」「私(わたし)ども」という意味で使われます。
ですから「手前(てまえ)味噌(みそ)」は、文字(もじ)どおりに考(かんが)えると、
「自分(じぶん)のところで作(つく)った味噌(みそ)」という意味(いみ)です。


こんなふうに使(つか)います

「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが、
私(わたし)の娘(むすめ)はとても頑張(がんば)り屋(や)です。」
「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが、今回(こんかい)の企画(きかく)は、
とてもいいものになったと思(おも)います。」
「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが、このケーキは自信作(じしんさく)です。」
「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが、私(わたし)の授業(じゅぎょう)では、
会話(かいわ)をたくさん練習(れんしゅう)できます。」


「自慢(じまん)」とは少(すこ)し違(ちが)います

「手前(てまえ)味噌(みそ)」は、
自分(じぶん)のことをほめる表現(ひょうげん)ですが、
強(つよ)く自慢(じまん)する感じではありません。
「自分(じぶん)で言(い)うのもなんですが……」
という、少(すこ)し控(ひか)えめな気持(きも)ちが入(はい)っています。
そのため、「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが……」と言(い)ってから、
自分(じぶん)の仕事(しごと)や作品(さくひん)、家族(かぞく)などについてほめることがあります。


日本語(にほんご)らしい表現(ひょうげん)

日本語(にほんご)には、自分(じぶん)のことを直接(ちょくせつ)ほめるのではなく、
少(すこ)し控(ひか)えめに伝(つた)える表現(ひょうげん)がたくさんあります。
「手前(てまえ)味噌(みそ)ですが……」も、その一(ひと)つです。
少(すこ)しユーモアもある表現(ひょうげん)なので、
意味(いみ)が分(わ)かると、
日本人(にほんじん)との会話(かいわ)がもっとおもしろくなるかもしれませんね。

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