日本語・韓国語講師の Hayoung_Eikoです ^ ^
韓国のニュースを見ていると、こんな表現をよく耳にします。
김 모 씨(キム某氏)
이 모 씨(イ某氏)
박 모 씨(パク某氏)
事件や事故などの報道で、名前を伏せたいときによく使われる表現です。
この 모(某) は、日本語の「某(ぼう)」と同じ漢字。
名字を残しながら、下の名前を伏せるときなどに使います。
例えば、
30대 김 모 씨
30代のキム某氏
회사원 이 모 씨
会社員のイ某氏
박 모 씨로 알려졌습니다.
パク某氏であることが分かりました。
といった具合です。
でも、この表現を聞くたびに、ちょっと不思議に思うんです。
「えっ? 名前を伏せるのに、名字は教えちゃうの!?」
日本でも「田中某氏」のような言い方はありますが、
韓国のニュースでも「김 모 씨」という表現をよく耳にします。
キムさんだってことは、分かっちゃうんだ……(笑)。
ところが、韓国の名字事情を知ると、これが意外と納得できるんです。
韓国では、김(金)・이(李)・박(朴) の3つの名字だけで、
人口の約45%を占めています。
なかでも 김(金) さんは、なんと約5人に1人!
「キムさん」と言われても、候補があまりにも多いんですね(笑)。
ちなみに、韓国の名字は「300種類くらい」と紹介されることもあります。
調査方法や集計対象によって、ずいぶん数字が違うとはいえ、
一部の名字に人口が大きく集中しているのが韓国の特徴。
そう考えると、名字だけで個人を絞り込むのは、なかなか難しそうです。
そして、もう一つ興味深いのが、
韓国には 본관(本貫) というものがあること。
これは、同じ名字でも祖先のルーツを区別する仕組みです。
例えば、同じキムさんでも、
김해 김씨(金海の金氏)
경주 김씨(慶州の金氏)
のように、祖先のゆかりの地によって家系が分かれています。
ちなみに、本貫は現在の出身地や住所とは別のもの。
同じキムさんだからといって、必ずしも同じ家系とは限らないんですね。
名字ひとつにも、韓国ならではの歴史や文化が詰まっているとは!
もちろん、「김 모 씨」と表記すれば、
絶対に個人が特定されないわけではありません。
年齢や職業、住んでいる地域など、ほかの情報が重なれば、
誰なのか推測できてしまうこともあります。
また、この匿名表現が使われる理由を、
名字の人口分布だけで説明することもできません。
それでも、こうした名字事情を知ると、
ニュースの「김 모 씨」がちょっと違って聞こえてきませんか?^ ^
ちなみに、韓国語では名字も明かさず、
単に 모 씨(某氏) と表現することもあります。
また、김 아무개(キム某) という言い方も。
ここで、表記についてもちょっとしたポイントを一つ。
김 모 씨
このように、それぞれの間にスペースを入れて書くのが基本です。
何気なく目にするニュースの言葉にも、意外と細かな決まりがあるんですね。
韓国語を勉強していると、単語の意味は分かっていても、
「えっ、そういう使い方をするの?」
と驚くことがあります。
でも、私はこういう瞬間がけっこう好きなんです。
何気なく聞き流していた言葉から、
その国の歴史や文化、社会の特徴が見えてくる。
知っているはずの言葉が、背景を知ることで急に面白くなることも。
こういう発見があるから、語学って飽きないんですよね^^
さて、ニュースに登場した 김 모 씨。
いったい、どのキムさんなんでしょうね?(笑)
皆さんも、韓国語を学びながら
思わずツッコミを入れたくなった表現はありませんか? ^ ^
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