中学校のサッカー部で、僕はオックンと仲良くなった。
オックンはバスケ部のユミチャが好きらしい。
バスケ部の練習中、休憩になると体育館のドアが開け放たれていた。
僕たちがダッシュの練習で体育館の近くを通るたびに、
オックンはちらりとユミチャを見ていたような気がする。
その横顔を見て、僕はついニヤニヤしてしまったものだ。
そのとき、ユミチャと一緒にいたのが、後に僕の彼女になる人だった。
僕も彼女も、オックンとユミチャのやりとりを微笑ましい気持ちで見ていた。
「青春だなぁ」なんて、どこか他人事のように。
ある日、彼女が僕に聞いてきた。
「ケイスケって、好きな人いるの?」
突然の質問に、僕は少し動揺した。
その頃、僕は最初のうちはウキという別の人をなんとなく気にしていたけれど、
そんな話を彼女にするのは気が引けた。
正直に話せば、ネタにされて冷やかされるんじゃないかと警戒してしまった。
だから、適当にその場で思いついた存在しない名前を答えてごまかしたのだけれど
――それが大失敗だった。
彼女はその名前を聞いて、「僕が彼女のことが好きなんだ」
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