「いつくしみふかき」は皆様が最も良く耳にする讃美歌、聖歌ではないでしょうか。私は幼稚園から高校まで朝礼などで、そして大学時代から10年近くキリスト教結婚式の聖歌隊でこの曲を歌っていたので、もはや親しみを越え、まるで空気のような曲となっています。しかし、いつ歌っても実はこの曲、それほど歌いやすい曲とは思いません。
最近になり、原詞のWhat a friend we have in Jesus を知りましたが、なんと日本語より言葉が流れて歌いやすいことでしょう。しかも英語の歌詞は、最初の4小節ですでに日本語詞の8小節分の情報量が詰まっています!
こうなってしまう理由は、日本語の歌は通常、一つの音(オト)に一つの音(オン)が割り当てられてしまうからです。私自身も、好きな英語曲の日本語訳詞を作ろうと、何度か試みたことがありますが、訳詞には原詞の意味を半分も盛り込めません・・・・毎度、原曲の魅力が出せないことを理由に諦めてしまいました。
一つの音(オト)に一つの音(オン)で、日本語詞を原曲のメロディに載せた場合、当然ながら、メロディの高低やアクセントの位置と、言葉との関連性はなくなってしまうことが多いです。音の響きこそ、歌の大切な要素ですが、どんどん歌の魅力が失われてしまう、もしくは少し別物になっていきます。この感覚は歌い手だけでなく、聴く側の方も感じているでしょう。
葛藤しつつ、訳詞を作る作業・・・・・「いつくしみふかき」の詞を作られた方のご苦労や思いも痛いほど伝わって来ます。(苦労だけではなく、創造的でエキサイティングでもありますが!)
ディズニー音楽や、輸入物のミュージカルの日本語詞で、かなりぎこちないものも多くありますが、(字余りが多いか、意味が薄まるか、のどちらか)とはいえ訳詞家の方は翻訳能力の何倍もの「発想力」を使っているのでしょうね。
こんな事情から、皆様も日本語詞が歌いにくいときは、一旦諦めて(笑)原詞にアプローチすることをおすすめします!
ずっと多くの音楽的発見があるに違いありません。
Uta-Tomoでした。
◇昨日YouTubeにUPした「いつくしみふかき」をフィンランドの美しい風景と共にお聴きくださいませ
◇関連レッスン
「聖歌や賛美歌を歌いましょう」
https://cafetalk.com/dashboard/tutor/lesson/edit/?id=250828&lang=ja
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