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Cafetalk Tutor's Column

Yoshi Sensei 講師のコラム

ネイティブの英語を目指すべきではない理由②

2021年12月24日

 


お疲れ様です、Yoshiです。


今回はネイティブの英語を目指すべきではない理由の2つ目の解説です。


▼▼前回分はこちら▼▼

ネイティブの英語を目指すべきではない理由①



●●●英語にしかない特徴●●●


2つ目の理由に行く前に、英語にしかない特徴を解説する必要があります。他の言語にはみられない、英語にしかない特徴、なんだかわかりますか?


それが、英語を話す人の中では、ネイティブよりも非ネイティブの方が数が大きいということ。それぞれの言語を母国語とするネイティブスピーカーだけの数で見ると中国語が1位、英語は2位となります。しかし、それぞれの言語を話すことができる人(ネイティブ+非ネイティブ)の数で見ると、英語が中国語を抜いて1位となり、順位は逆転します


ちなみに、インターネット上で使われている言語ランキングでも、英語は中国語を抜いて1位となっています。もはや、英語ができなくても損しない時代ではなくなりましたね。


これらの統計は、実質的に英語が世界で最も使われている言語であることと同時に、英語は非ネイティブの方が多い言語であることの2つを示しています。


そして、ここから知っておくべきことがさらに2つあります。


まず第1に、2人以上が英語で会話をするとき、「どちらもネイティブである」確率よりも「片方がネイティブでもう片方が非ネイティブ」または「非ネイティブ同士」の英会話の方が起こりやすい、ということです。



これは数字で考えれば明らかですし、海外で暮らした経験が少しでもある方なら納得いただけるかと思います。というか、そもそも日本人が英語圏に移住しただけで、自分の会話は少なくとも「どちらもネイティブである」ことはあり得ませんよね。


Yoshiの実体験でもそうです。特にイギリスの大学院で勉強していた頃には、第二言語習得の授業はイタリア人教授に教わりましたし、卒論の指導教授はポーランド人でした。ネイティブ率は50%くらいだったかと思います。地理的にたくさんの国が集まっているヨーロッパ周辺ならではの特徴でしょうか。彼らの英語はもちろん超高レベルなものでしたが、確かにネイティブにはない独特の訛りや言葉の選び方がありました。個人的にはイタリア人が話す英語が好きです。


私たち日本人が想像する英会話といえば、英検のリスニング問題の放送文のような「アクセントや発音が辞書通りに正しいネイティブ同士のもの」を想像しがちですが、実際の英会話ではそうした日本人が思う「正しい英会話」はむしろ珍しい、ということは認識しておくべきでしょう。


そして知っておくべきことの2つ目が、非ネイティブ同士の英会話にネイティブが参加するとコミュニケーションが成立しにくくなる、ということ。これも応用言語学の世界では有名な論文で提唱されており、むしろ非ネイティブ同士の方が英会話は成立しやすいとされています。




さまざま要因はありますが、端的にいえば「非ネイティブにしかわからない英語学習の苦労がある」ということでしょうか。


「the」の発音は日本語にないことから、日本人が「the」を「ザ」と発音しても、聞き手も日本人なら「the」を言いたかったんだな、と理解してもらいやすいでしょう。


さらに、地域によっては英語ネイティブが使わない文法を独自に正しいものとするところもあります。例えば、「私は何も知りません」を英訳すると、「I don’t know anything.」か、「I know nothing.」が正解ですよね。ところが、一部地域では「I don’t know nothing.」と習慣的に表現するところもあります。



文法的(ネイティブ的)には「I don’t know nothing.」は二重否定となるので誤りとされるのですが、話し手も聞き手も「I know nothing.」を意味する文として使用していれば、会話は成立します。そんな常識があるところに、それを知らないネイティブが参加すると途端に会話が成り立たなくなるのもうなづけます。


「英語学習あるある」を共感してもらえる人同士で英会話をしたほうが会話が成立しやすいということですね。


●●●終わりに●●●


このネイティブと非ネイティブの数の逆転現象は英語にしかみられない特徴で、言語学的にみても興味深い現象です。それだけ「英語は世界共通語である」ということの裏付けになっているということですね。


もし日本語にこの現象が起きていたら・・・なんだか不思議な感じがしますね?海外旅行に行ったら、現地でも日本語が当たり前のように話されていて、日本人である私たちはなんの不自由もなく世界中どこででも生活できる世界。うーん、英語ネイティブが羨ましいですかね?


これはこれでまた別のトピックに派生していきそうなので、また別コラムでまとめましょう。


それでは今回はこの辺で!

次回はここまでまとめた内容を元に、なぜネイティブ英語を目指すべきではないのかに触れていきましょう。


クリスマスだけど、コラム書くよ!!!!!!!


本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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