いつもの生活に世界のスパイスを。

Cafetalk Tutor's Column

Yoshi Sensei 講師のコラム

ネイティブの英語を目指すべきではない理由③

2021年12月25日

 


お疲れ様です、Yoshiです。


今回はネイティブの英語を目指すべきではない理由、3本目のコラムです。


▼▼今までの分はこちら▼▼

ネイティブの英語を目指すべきではない理由①


ネイティブの英語を目指すべきではない理由②


それでは前回に引き続き、もう1つ言語学の世界から英語に関する特徴を紹介していきますよ。まだ第2回を読んでいない人は先にそちらを読むことをおすすめします。


●●●英語の広がり●●●


前回のコラムでは、英語が世界中に広がっていることから、「ネイティブよりも非ネイティブの方が人数が多い」という点に触れました。これを国ごとの広がりで分析したKachruという言語学者がいます。


彼によると、英語が使われている国々は3つの輪に分類できるとされています。簡潔に示すとこうなります。(図の国旗は所属国の一例です。)



1番内側の輪「インナーサークル(Inner Circle)」には、英語を第1言語として使用し、かつ行政機関などの重要な組織団体も英語を第一言語として使用している国が分類されます。アメリカやカナダ、イギリスなどが該当します。


1つ外側の輪「アウターサークル(Outer Circle)」には、英語が第1言語では無いものの、かつてイギリス植民地であった影響などから、英語が主要言語の1つとして日常生活や行政機関においても使用されているという特徴があります。ガーナ、シンガポール、インドなどが該当します。


そして、1番外側の「エクスパンディングサークル(Expanding Circle)」。この分類には、英語を外国語または第二言語として言語教育を行っており、インナーサークルやアウターサークルの国の人との交流を図っている国々が該当します。また、英語が日常生活で使われていないことも特徴の1つです。日本や韓国、中国などが該当します。中国は近年、国力を高めるために海外への留学者数をどんどん増やしている、というニュースも少し前に話題になりましたね。


本来、各国はそれぞれの言語を発展させていたはずです。ところが、あまりに英語が世界が広まったため、もともと英語を使っていなかったアウターサークルの国々では日常生活の一部として英語が使用されるようになったり、さらに遠いエクスパンディングサークルの国々では日常生活では英語が不要であるのにもかかわらず、義務教育の一部として英語教育が重要なものとして含まれるようになったりするなど、英語の広がりがもたらす影響力がかなり大きいことがわかります。



●●●英語の広がりから言えること●●●


前回のコラムからここまでの内容をざっくりまとめるとこうなります。


①英語ネイティブより非ネイティブの方が多い

②非ネイティブ同士で英会話する方が簡単なこともある

③国や地域によって使われている英語は異なる


ここまで読んでいただけたなら、ネイティブの英語を目指すべきではない理由の2つ目もお分かりかと思います。そう、英語が世界中で使われている現在、ネイティブが話す英語が最も必要とされる国や地域は限定的だからです。


めちゃくちゃ勉強してネイティブの英語を手に入れたとしても、英語が世界中に広がりすぎているため、むしろネイティブレベルの英語の方が不自由をきたしてしまう場合があるということなんですね。英語が世界共通語となっている現在、ネイティブスピーカーしかいないコミュニティの方が珍しい存在です。アメリカやイギリス、オーストラリアなど英語圏の国においても非ネイティブスピーカーはそこらじゅうにいます。


もちろん、高レベルの英語力が不要、といいたいわけではありません。


重要なのは、自分が所属する社会、職場、地域に適した英語を話せるようになっておくことです。応用言語学の世界では、各国や地域が独自に発展させている英語を「World Englishes」と呼びます。「English”es”」と複数形になっているところがポイントです。


よって、場所によって話されている英語が異なることから、地域に根ざした英語のニーズを無視して、ただやみくもにネイティブレベルの英語を目指すことは必ずとも最適解とはいえない、ということですね。



●●●終わりに●●●


前回から今回にかけて、言語学の研究内容を絡めながらネイティブの英語を目指すべきではない理由の2つ目を解説しました。


英語の教科書や英検のリスニング放送文など、日本人の私たちは「完璧な英語」(ネイティブの英語)に触れる機会がたくさんあります。しかし、それらに影響を強く受けすぎて、「完璧な英語じゃないといけない」と思い込んではいけません。


英語を学ぶなら、やはり意識しておきたいのは「自分がいる場所で使える英語が身についているかどうか」。ネイティブ英語が本当に必要かどうか、ご自身でも考えてみてください。


あなたの考えも、コメントで教えてくださいね!


ちなみに、このシリーズはまだまだ続きます。


クリスマス?


コラム書くの楽しいなぁ!!!!!!!

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

お気軽にご質問ください!