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Cafetalk Tutor's Column

Toria 講師のコラム

海底の石、逃げる…わたし③

2022年7月24日

海底の石、それは…わたし①を読む

海底の石、どん底のわたし②を読む



推薦入試に失敗したわたしは、翌年2月に本受験する気力が無かった。

もともと、行きたい短大・学部でも無く
周りが進学するから…。
”それだけで決めた進路希望”に
執着が全く無かった。

わたしは、母に申し出た。

「行きたい学校が無いから、就職する」

すると、恐い母は烈火の如く
わたしに怒りをぶつけて来た。

「なにを言い出すのおぉぉぉぉ。
あんたの進学のために、お金を貯めてきてるのよ。
お姉ちゃん達だって、上の学校に行かせたんだから
あんたにも行ってもらわないとぉぉぉぉ╰(°ㅂ°╬)╯」

わたしのキモチなど、そっちのけである!

親としてのメンツなのか、見栄なのか
母は、とにかく短大でも大学でも、専門学校でもいいから
進学しろ!と言うのである。

ところが、やはり英文科はダメだという。

どうにもこうにも、いろいろ考えても行きたい学校は無く
とうとう、母が「良いところがある!」と言い出した。

それは…簿記学校。

簿記学校!?
初めて聞いた言葉、学校。

「そうよ! Toriaちゃん、簿記学校がいいわ!」
母は名案を思い付いたとばかり、上機嫌になっていた。

わたしは納得が行かず
またも、隣のクラスのT先生のところへ走った。

「先生、うちの親が簿記学校に行けって言うんですけど
それだったら、私はS短大の経営科にでも本受験しようと思うんですけど」

T先生は、わたしのフラフラした気持ちをすべて見通していた。
そして、意外な答えを返してきた。

「S短大はやめておけ。無理だって言ってるわけじゃない。
でも、今のおまえには勧めない。
簿記学校、いいと思うぞ。
お前にとっては、いいんじゃないか~」

なんてこった
(。゚ω゚) 

こいつもウチの母の一派か!

しかし、その横でわたしの担任は
「大学か短大、本受験しろ~
おまえだったら、まだ行けるところあるぞ」と耳打ちする。

大人たちの、あれやこれやの雑音に
わたしは「誰の進路なんだ」と愕然となった。

そして、面倒になった。

多数決だ!

母とT先生が「簿記学校がいいぞ!」と言うなら
そうかもしれない。
簿記学校がなんぞかわからぬが
わたしは、仮押さえで「簿記学校に進学希望」と行き先を変えた。

そして、次の日
すぐ上の姉にズルズルと引きずられ、神田神保町に向かった。

2校の簿記学校を見学し、結局これまた
母の意見が最優先で、創立80年とかいう
そこそこ名の知れた簿記学校に決めた。

それでも、なお
わたしは迷っていた…

でも、これでもう
勉強しなくていいんだ!と思うと、心底ホッ!とした。
もう進路の事を考えなくていい。それでクリスマスを、大晦日を
新年を迎えられる。
大した戦いもしていないのに、ヨレヨレになっている鎧。
それを脱いだ、瞬間だった。

そう…
わたしは逃げたのだ。

戦う事を選ばず、逃げたのだ。
海底の石は、流れに身を任せるだけだった…続きを読む

Sheryl Crow - My Favorite Mistake (1998)

実は、何の戦いにも出ていない
へっぽこだという事に、気づきながらも
当時の私は「主体性」などというものは、持ち合わせていなかった。

流されて決めた簿記学校
私は、初めて「学びの地獄」を見る事になる…。

TORIA (o ̄∇ ̄)/

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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