小学校の頃、七夕の短冊にこう書いた夢見がちな私である。
物や空間や時間を操る魔法使いになりたかった。
小さい頃アニメやマンガは見なかったから、
何の影響でそう考えたかはよくわからない。
時は流れて中3の秋。
父のアイスホッケーのカナダ遠征におまけで母と連れて行ってもらった。
「受験生なのにケイスケは気楽でいいな!」
と同級生からは憎まれ口を叩かれた。
そもそも海外なんて行けると思ってなかったし、
周りの友達も海外に行く人なんていなかった。
あるとすれば、成績優秀者が中学校代表で海外に勉強にいくだけ。
それだけ敷居が高いし、棚ぼた体験だった。
アイスホッケーの遠征でリンクへの移動が多かった。
あとは道具店を回ることが多かった。
私に自由時間はなかったし、あったところで一人で歩くのは怖かった。
バスの中で不貞腐れながらイヤホンで音楽を聞いていた。
秋。ハロウィンの日とちょうど重なったらしい。
想定外で全く準備はしていなかったので、
父のアイスホッケー仲間のカナダ人の知り合いから衣装を借りた。
そう!それがまさしく魔法使いの格好だったのだ!
当時はハロウィンの決まり文句を覚えるのに必死で、
何度も繰り返し聞いて他の子どもと一緒に発音を練習した。
小学生の思い出なんて思い出す余裕はなかった。
でも、今考えると夢がかなった瞬間である。
時代的には『ハリー・ポッターと賢者の石』が世界に広まった後だが、
当時の私は映画を見ていなかった。
「魔女か、微妙だな」
くらいにしか思わなかった。
竹箒、黒いマント、黒い帽子。確か杖は持っていなかった。
私のイメージは『魔女の宅急便』。
コラムを書いている今のテンションを分けてあげたい。
何件も何件も周り、お菓子をいっぱいもらった。
貰ったお菓子は帰省後クラスメイトに分けた。
弟と妹は山盛りのお菓子を見ていて食べたくて泣いた。
ごめんよ。私も食べないから。
意外と夢は七夕の短冊に書けば叶うのだろうか?
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