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Cafetalk Tutor's Column

Toria 講師のコラム

出戻り成田~カナダへの道⑩

2022年11月18日

夢や希望~カナダへの道③
過去は変えられねえ!~カナダへの道④
何かの足しに日本語教師~カナダへの道⑤
揺らぐ牙城~カナダへの道⑥
ちゃっかり!な裏切り者~カナダへの道⑧
29歳・独身・無職~カナダへの道⑨


成田離婚があると言う事は…
羽田離婚とか、関空離婚なんてのもあるんでしょうね。
そういうToriaは”出戻り成田”の経験があります!

あ! 決して、結婚は絡んでませんよ(* ̄▽ ̄)フフフッ♪

カナダでの就職先の社長の強い希望により
わたしは大学の卒業式前に一旦、カナダに渡る事になった。

ずっとずっと、カナダへ行きたいと思っていた。
しかし…
約10日間の滞在のために、トランジットを含めて片道約20時間。
家族と過ごせる時間を削って、何故にカナダへ一旦行かねばならないのか…。
わたしは気が重かった。

だが、先の事を考えると「行けません」などとは
言えなかった。

ミレニアムの前年~99年の2月26日。
わたしは、いよいよ
夢に見た海外へ
北米へ
カナダへ、旅立つ事になった。

すぐにまた、日本に戻ってくる予定ではあるものの
わたしにとっては、この日が
親からの旅立ちの日。
何しろ、30歳になるまで親と一緒に暮らしてきた。
三人姉妹のわたしは、特に甘やかされて育ち
何から何まで、親と姉に甘えてきた子供だった。

そんな、わたしの旅立ちの日。
母と姉が、箱崎の東京シティ・エアターミナルで見送ってくれた。

いざ! カナダに行くとなると
家族と離れる事に、とてつもない寂しさを感じた。

わたしってば、何てエラい決断をしてしまったかと
成田空港に向かうバスの中で思っていた。
と同時に、頭の中で
「2月26日と言えば、二・二六事件だねぇ」などと、ヘンな事に思いを巡らしていた。

成田に着き
あ~ほんとに、わたしは旅立つんだよぉぉぉぉ!
そんな、感傷的になっているわたしに、マヌケな現実がやって来た。

ん? 何だか、おかしい。
いつまで経っても、搭乗手続きのコールはない。
待つ人々がザワザワしてきた…

出発時間が訪れると、ようやくアナウンスが~。

なんと!機体故障により、本日は飛べない。
とりあえず、航空会社が用意したホテルに宿泊してほしい…との事。

だったら、一旦また家に帰ろうか!!!と思ったわたし。
ところが、今はなきカナディアン航空のお姉ちゃんが
「もうすでに、出国している事になってるんです。
あなたはもう、日本に居ない!って事なんですね。ですので、このままホテルへ」

家に帰りたい!と子供のようにゴネたものの
出国扱いになっている身では、その自由は無いと言われ…。
わたしは、たぶん半泣きしそうな顔をしていたのではないだろうか。

家に出戻りどころか
”出戻り成田”で、明日また
わたしは、この搭乗カウンターに来るッテ事かい(;'∀')

あざやかに
さわやかに
そして、ちょっと感傷的に旅立つはずが
カナダへの旅立ちは、こんな有り様だった。

空港で用意されたホテルのレストラン。
わたしと同じように
トロント行きの飛行機に乗れなかった人たちが、食事をしていた。
新婚旅行と思われるカップルや家族連れ。
わたしはポツンと一人だった。

涙が出そうなのを堪えながら
ただただ、口に運んだ食事は味気なかった。

翌日
わたしは眼下に広がる成田空港の景色を見ながら
一日遅れでカナダへ飛び立った。
もう、寂しさも感傷もなかった。
ただ、この
”つまづいたような感覚”の旅立ちが気になった。

いよいよ、わたしの「カナダへの道」。
その入り口へ…


宮沢和史「旅立ちの時」(1998)

ここまでが、ある意味「カナダへの道」序章。
ここから、怒涛の本編に入ります~続きを読む

TORIA (o ̄∇ ̄)/

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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