当たり前のことを分析する

中村勇太

音程が合わない!

レッスンでも高く!低く!と指摘される。

こんなに練習しているのに、命中率が上がらない...

 

一度は誰もが経験します。

 

ここをなんとなく、乗り越えられる人はラッキーです。なんとなく、乗り越えられる人は、がむしゃらにやる中で、自分の体格や指や腕の長さとその構えがバランスが取れたということです。

 

しかし、非常に稀だと思いますし、いざ人に説明するとなると、はて?となってしまうパターンです。

 

がむしゃらにやる中で、当たり前の原理や原則を意識して、効率のいい取り組みをすれば、もっと他のことに時間を割けるはずです。

 

もっとも、当たり前の原理や原則は、当たり前のことすぎて説明されない、ということも意外と多いのです。

 

たとえば、J.S.バッハのドッペルコンチェルトに、このような部分があります。

 



なぜ、ここの音程が不安定になるのか。

言い換えれば、この曲が広く教材として選ばれている理由の一つはなにか。

 

同じ指を複数の弦上で配置転換する。

これは単音の場合、大抵肘の動きですが、ここでは複数の弦を押さえたままにしないと、和音の形が成立しません。

 

さらに、真横の配置転換ではなく、♭、♯、ナチュラルの判別も必要です。

 

そこの区別をするのは、指のどこが弦に当たるか。いいかえれば、指の接地点をコントロールするのは指のどこか。

 

配置転換をするときに、指の接地点を安定させる感覚、感触はなにか。

 

こうして分解していくことは、楽譜をテクニック面で分析することであり、将来的にはそれがフィンガリングの付け方の軸の一視点となります。

 

これは、初歩の曲でも同じことです。

間違えないために、ただ繰り返すのではなく、どうやって防ぐか。

 

仕事でもプライベートでも危機管理は大切です。

 
本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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