養生訓について(139)

nagaiki

こんにちは、nagaikiです。

養生訓(原文)
食物の気味(きみ)、わが心に、かなはざる物は、養(やしな)とならず。かへつて害となる。たとひ我がために、むつかしく、こしらへたる食なりとも、心にかなはずして、害となるべき物は食ふべからず。
又、其(その)味(あじ)は心にかなへり共、前食(ぜんしょく)いまだ消化せずして、食ふ事を好まずば食すべからず。わざととゝのへて出来(でき)たる物をくらはざるも、快(こころよ)からずとて食ふはあしゝ。前に使令(しれい)する家僕(かぼく)などにあたへて食(くら)はしむれば、我が食(しょく)せずしても快(こころよ)し。他人の饗席(きょうせき)にありても、心かなはざる物くらふべからず。又、味心(あじこころ)にかなへりとて、多く食(くら)ふは尤(もっとも)あしゝ。

意訳

「自分に合わない」と思った食べ物は、どんなに高価であっても食べないほうが良いでしょう。ただ、振舞ってくれた方への感謝は忘れずに、お持ち帰りにしてもらうことで、この料理を好きな人に食べてもらうことも出来ます。

通解

食物の質や味わいは、自分の心に合わないものは、栄養とはならずむしろ害となります。たとえその食べ物が美味しくても、心地よく感じないなら、それは害になるべきです。自分のために、難しく手の込んだ食事でも、心に馴染まないなら、害となる物は避けるべきです。

また、食べ物の味わいは心に合致するものでなければ、前の食事がまだ消化されていない状態で新しい食事を好むことはありません。自分で手をかけて作った料理であっても、心地よく感じないなら食べるべきではありません。家の使用人などが前の食事を提供してくれたとしても、心地よく感じないなら、それを食べる必要はありません。他人の宴席に出席している場合でも、心に合わない物を食べるべきではありません。また、美味しいと感じる味わいでも、過度に食べることは特に避けるべきです。

気づき

美食を前にして我慢することは並大抵の忍耐力ではないでしょう。ただ、過食せずとも美味を味わうことは可能かも知れませんね。
本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

コメント (0)

ログインして、コメント投稿 ログイン »

出身国:

居住国:

教えるカテゴリ

講師の言語

日本語   ネイティブ
中国語   カタコト

nagaiki講師の人気コラム

  • ライフスタイル

    養生訓について

    こんにちは、nagaikiです。「人の身は、父母を本(もと) とし、天地を初(はじめ)とす。天地(てんち)父母のめぐみをうけて生まれ、又、養 (やしな)はれたる、わが身なれば、わが私(わたくし)の物...

    nagaiki

    nagaiki

    0
    2395
    2022年8月3日
  • ライフスタイル

    養生訓について(7)

    こんにちは、nagaikiです。 養生訓(原文)「園(その)に,草木(そうもく)を、うへて愛する人は、朝夕(あさゆう)心にかけて、水をそそぎ土をかひ、肥(こえ)をし、虫を去(さり)て、よく養ひ、其(...

    nagaiki

    nagaiki

    0
    2129
    2022年8月9日
  • ライフスタイル

    養生訓について(3)

    こんにちは、nagaikiです。養生訓(原文)「況(いわんや)大なる身命(しんめい)を、わが私の物として慎(つつし)まず、飲食(いんしょく)・色慾(しきよく)を恣(ほしいまま)にし、元気をそこなひ病...

    nagaiki

    nagaiki

    0
    1998
    2022年8月5日
  • ライフスタイル

    養生訓について(4)

    こんにちは、nagaikiです。養生訓(原文)「人となりて、此世(このよ)に生きては、ひとへに父母天地に孝をつくし、人倫(じんりん)の道を行なひ、義理にしたがひて、なるべき程は寿福(じゅふく)をう...

    nagaiki

    nagaiki

    0
    1938
    2022年8月6日
« 全講師コラム一覧へ戻る

お気軽にご質問ください!