私は、25年間にわたり日本でビジネス英語を教えてきたトレーナーです。これまでに学生から社会人、経営者、航空業界のスタッフに至るまで、さまざまな人たちと関わってきました。その中で見えてきたのは、「どんな学び方が効果的で、どんな学び方が遠回りになるのか」という現実。そして何より、動機・繰り返し・実践の3つが、語学上達のカギであるということです。今回は、そうしたリアルな学びのヒントを、意欲に満ちた若い大学生たちに伝えたかったのです。
飛行時間は1時間ほど。私はその間、講義で伝えたいポイントを何度も頭の中で整理しました。まず一番大事なのは、「毎日、少しでも言語を使うこと」。私は学生たちにこう伝えたいと思っていました。「語学が早く上達する人は、英語を“教科”としてではなく、“ツール”として日常に取り入れている人です」と。たとえば、カフェで注文する、友達に話しかける、英語のメニューを読む、YouTubeを英語字幕で見る。そうした日常の積み重ねが、自信と実力につながっていきます。
大阪に到着すると、街の活気にすぐ包まれました。人懐っこくて元気な雰囲気があふれる街。私はタクシーで大学へ直行しました。キャンパスはすでに賑わっていて、自転車に乗った学生や、桜の木の下でおしゃべりする学生たちの姿が見られました。
講義室は明るく、モダンな雰囲気。すでに60人ほどの学生が着席していて、私が入ると好奇心いっぱいのまなざしがこちらに向けられました。私はにっこり笑い、まずこう質問しました。「英語の勉強が“楽しい”と思う人、いますか?」
手が上がったのは、ほんの数人。
「じゃあ、NetflixやYouTubeを見るのが好きな人?」今度は、ほとんどの手が一斉に上がりました。
そこから話を始めました。「英語学習は“つまらない勉強”じゃなくて、自分の好きなことと組み合わせれば、もっと楽しく、早く身につくんです」と。語学が早く上達する人は、完璧な文法や大量の単語を暗記する人ではありません。間違いを恐れず、楽しみながら、リアルな場で使っていく人なのです。
私は、以下の5つの学習法を紹介しました。
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毎日の接触(10分でもOK)
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シャドーイング(聞いて、まねる)
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自分に関係ある内容で学ぶ
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不完全でもいいから、とにかく話す
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「言語の環境」を自分のまわりにつくる
自分が日本語を学ぶ中で、間違えて恥ずかしかった体験もシェアしました。でも、その「恥ずかしい体験」こそが、最大の成長のチャンスだったと。
講義の終盤には、学生たちが英語で話し合ったり、笑ったりしながら、積極的に練習を始めていました。私は最後にこう伝えました。「語学は完璧を目指すものじゃなく、“勇気”を持って話すものです。」
外に出ると、大阪の春の日差しがとても気持ちよく、心が温かくなりました。教えることで、私自身もまた、なぜこの仕事が好きなのかを再確認できるのです。言葉を通して人とつながること。それは、人生で最も豊かな体験のひとつです。
そして翌日、また東京に戻り、次のレッスンが待っています。
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