僕は泳げない。 何度かスイミングスクールに通ったものの、 水への恐怖心は克服できなかった。 そもそも浮き方がわからないのだ。 「力を抜けば浮くよ」とコーチは言うが、 その通りにしても沈む。 たった水...
Keisuke.H
授業中、眠気に負けることが多かった僕だが、 実技科目だけはそうはいかなかった。 移動教室があるおかげで、居眠りし続けるわけにはいかなかったのだ。 美術では未完成の作品を残し、 音楽では楽譜が読め...
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母が「教育ママ」という名のラスボスだったせいで、 我が家のゲーム環境はファミコン1台のみ。 「時代に取り残される」という状態異常を喰らい、 ポケモンやたまごっちが流行している中、 僕はそれらに触れる...
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模試でチバ君と再会し、連絡先を交換した。 成績は僕とチバ君で雲泥の差だったため、 一緒に塾の授業を受けるなんてことは一度もなかった。 話は進むうちにチバ君が転校前の知り合いについて語りだした。 ...
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「どうしてそんなに不真面目なんだ!」 親が言うたびに僕は思った。 実業高校出身の父に真面目がどうこう言う資格はない。 学校なんて給食さえ食べられれば十分で、 授業中は机に突っ伏して夢の中。 テス...
Keisuke.H
冬の楽しみと言えば雪合戦だ。 僕たち男子は、雪を見ると犬のようにテンションが上がり、 挨拶代わりに雪玉を投げ合った。 防寒のダッフルコートも何のその、雪玉の命中率だけはプロ級だった。 そんな冬、...
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あれは、秋の陽射しがやわらかく田舎道を照らしていた頃のことだ。 僕、オックン、ショウゴ、アンチャンの4人は、 ママチャリにまたがり、まだ見ぬ冒険の香りに誘われて出発した。 片道25km、キャンプ場で...
Keisuke.H
僕の学校生活は「勉強」よりも「昼寝」だったようだ。 後ろの席から見えるのは、先生の顔ではなく窓からの景色。 前で必死に教える先生を横目に、 僕は頭をそっと机に預け、視界を曇らせ、 スゥと夢の世界へと...
Keisuke.H
『赤い実はじけた』ほどドラマチックではなかったけれど、 あの頃、僕にも突然のモテ期が訪れていた。 意を決して手紙で告白すると、思いがけず「いいよ」という返事が届いた。 直接伝えられない自分が少し情け...
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サッカー部にいた僕は、当初から部のやり方には疑問を感じていた。 練習試合も地区大会も、いつも結果は惨敗で、 それを改善しようとする雰囲気もない。 ただひたすら、同じメニューを毎日繰り返すだけ。 部員...
Keisuke.H
中学時代、僕は前期だけ学年委員長をやっていた。 後期は他の誰かに委員長を任せるルールがあったので、 後期は目立たずのんびり過ごそうと決めていた。 ところが、文化祭の大道具係での働きを見た技術の先生が...
Keisuke.H
僕の通っていた中学校では、毎年秋になると文化祭が開かれていた。 展示用の絵画は提出が義務だったんだけど、 絵の仕上がりが遅れていた僕は締切に間に合わず、 半分しか描けていないスカスカのキャンバスを展...
Keisuke.H
中学生になって、初めて同じクラスになる人がたくさんいて、 僕にはそれがどこか不思議な感覚だった。 小学校では2年に1度しかクラス替えがなかったから、 なんとなく新鮮で、少しだけ胸が高鳴った。 でも、...
Keisuke.H
1学年80人、2クラスの小さな中学校。 先輩後輩の関わりは生徒会や部活に限られていたので、 恋愛対象はほぼ同級生オンリー。 中学生にとって、恋愛の倍率はかなり高かった。 さらに、誰が誰を好きかは目ま...
Keisuke.H
中学生になって一番の驚きは、科目ごとに先生が違うことだった。 職員室に行けば、理科専門、音楽専門、保健体育専門と、各担当が並んでいる。 教科に応じて理科室に移動するのも日常の一環になった。 その...
Keisuke.H
中学生になって初めてのテストで、80人中6位だった。 悔しさなんて感じることもなく、 「ああ、自分はこんなもんだな」と早々に割り切っていた。 国語の漢字問題で絵画を「えが」と書いて出した時点で、 ト...
Keisuke.H
中学に入ってすぐのクラス会で、学級委員を決めることになった。 その場では、面倒ごとには関わらないぞと決めて、 ひたすら存在を消していたつもりだったが、 気づけば「学級委員長に推薦します!」という声が...
Keisuke.H
小学生だった僕に、カオリねえちゃんはよく言った。 「中学校は男子全員ボウズだからね」 何度も繰り返されるうちに、それは恐怖になっていった。 僕の記憶が確かなら、カオリねえちゃんはオカッパだった気がす...
Keisuke.H
中学校の体験入学があった。 体験入学と言ってもテスト受けただけ。 2人が転校するだけで、 1学年の80人はエスカレーター式に繰り上がるだけだった。 進学というより進級という感覚だった。 「またこ...
Keisuke.H
転校してきた頃はスケートをやったことがなかった。 ホッケー靴の靴紐も結べないレベルだった。 手袋を脱ぐと寒くて指が上手く動かなくなる。 スケート大会の前に父は僕に靴紐の結び方を教えた。 初めてのリン...
Keisuke.H
夏休みいえば大量の宿題。 僕は毎日努力をしないから日記に苦戦した。 夏休みが一ヶ月近くあるから、 終了三日前に毎日分を書かなければいけない。 一ヶ月前の天気も内容も覚えているわけがない。 仕方なく新...
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学級委員長はいつもマントクさんだった。 僕が転校してくる前からそうだったのだろう。 マントクさんは真面目で業務を淡々とこなしていた。 僕が驚いたのはずっと委員長をやらされていたことだ。 だからといっ...
Keisuke.H
僕が小学校の頃、給食に牛乳瓶が出てた。 牛乳パックになったのは中学校になってからだ。 牛乳瓶の耐久性は低くて、 机から落としたり運搬時に落としたりするだけで割れた。 運搬時には一気に運ぶから全滅する...
Keisuke.H
『思い出に残った修学旅行』 卒業式にみんなでいうあのセリフ。 僕にもいろんな意味で思い出に残った。 ハシモト先生の理不尽な班分けで行く気が失せたものの、 三バカと不良たちの説得により参加すること...
Keisuke.H
実技科目の中で体育の他に音楽がダメだった。 ヤマハ音楽教室では歌を歌ったことしかない。 ピアノを習う前にサッと辞めたからだ。 当然、音楽で習う範囲のことしか出来ない。 楽譜を見たのも授業が初めてで、...
Keisuke.H
ハシモト先生は継続や努力という言葉が好きだった。 特に努力をしなくても勉強できる僕とは相性が悪い。 それなのに小学校3年間ずっとハシモト先生のクラスだった。 毎日の朝自習の課題は作文。 テーマに...
Keisuke.H
転校前は両親と私と妹だけで住んでいたが、 転校後は祖父母とイトコの姉と同居になった。 なんでイトコの姉が一緒に暮らしていたのかはわからない。 自宅は団地より清潔になったが、 同居になると制約が多...
Keisuke.H
僕は運動全般が大嫌いだった。 50m走は10秒ちょうどの鈍足、 マラソンは脇腹が痛くなるので最下位。 握力は左右どちらも18kg。 二重跳びが一回も出来ない。 「女子にも負けるひ弱なケイスケ」 ...
Keisuke.H
三バカの一角、マコトはサッカー部だった。 サッカー部は野球部よりガラが悪く、 毎日練習している割に弱かった。 公式試合で一回戦突破をしたことがない。 別にマコトは剣道部だったわけではない。 教室...
Keisuke.H
僕は刃物との相性が悪かった。 小さい頃に料理をしたことがない。 未だに包丁の正しい使い方や研ぎ方がわからない。 工作でもハサミは使うけどカッターは怖くて使わなかった。 図工で版画を作ることになっ...
Keisuke.H