わたしの家には13歳のチワワ(詳しくはポメラニアンとチワワの混血。)がいる。
名前はミシピ(仮名)。
わたしが子育てをしている間、動物好きな心優しい義母がミシピを預かってくれ、次女が小学生になった一昨年、ミシピを再び自分で飼うことになった。
ある日わたしがベランダで洗濯をしていた時、ミシピがベランダの戸にお尻を押しつけて日向ぼっこを始めた。
洗濯が終わって室内に入ろうと戸に手をかけた瞬間、違和感を感じた。
「???? 戸開かないじゃん!戸がロックされてる!」
ミシピが戸にお尻を押しつけた勢いで、ベランダの戸に置いておいた泥棒防止のつっかえ棒がちょうど引き戸を挟み込み、わずか2センチの差で戸が開かなくなった。
洗濯する直前、わたしを除いた家族は近くの義母の家に遊びに行っていた。よって室内はミシピだけしかいない。
スマホは室内にあるし、誰にも連絡とれず、ベランダはいわゆる密室。
これって、ピンチだよね。。。。。
家族は義母の家に遊びに行っていて、帰ってくるのはたぶん4、5時間後、しかもわたしが迎えに行かないと6時間は余裕で帰ってこないかもしれない。。
最長で6時間、わたしはベランダで何をして時間潰ししようと焦った。
深呼吸をして落ち着いた。
そして考えた。ミシピに助けを求めること。犬は災害の時考えもしない奇跡を起こしてくれることを思い起こし、ミシピに願いを込め助けを求めた。
「ミシピ!助けて!家に入れないよ!」
その途端、ミシピはわたしの異変に気付いたのか、リビングの中間にある上り階段まで走って行き、
ワンワンっ!!!
ワンワンっ!!
と吠え始めた。
ところが家の中は、
シーーーーン。
室内は静けさを保つだけ。
そう、だって誰もいないから。。。
犬が奇跡を起こす可能性もあると考えたわずかな希望は瞬く間に消え失せた。
13歳のおじいちゃんミシピは、足腰の筋肉が衰えて階段も登れないし、ましてや小型犬の大きさでは家の玄関のドアは開けて人を呼ぶことなど難しい。
ベランダの戸に挟まったつっかえ棒のわずか2センチの差をどうにかして押してみるという犬にとって高度な業は、ミシピに理解してもらうまで至らず、ミシピは、またお尻を戸に押しつけて日向ぼっこを再開した。
わたしは、ミシピに助けてもらうことをあきらめ、心の底から自分のドジさに大笑いした。
自分がベランダに行くことを考えて、つっかえ棒を移動させておけばよかったのに、万が一の事態(まさしくこういう事態のこと!!)を考えず、つっかえ棒をよけておけばこんなことにならなかったのに。。
さて、わたしはその後、「密室」からどうやって脱出したでしょうか?
ここからは実は知能戦だった。
ベランダじゅう見渡して、何か方法がないか考えあぐねた。
「密室」から抜け出す方法は、ストレートに考えると、自分で戸を開けること。
幸い、戸はマーカーペンの太さくらい開いていた。
その隙間からベランダにあったアルミハンガー(昔からある定番のワイヤータイプ)を手で加工して戸の隙間に入れ、室内のつっかえ棒を2センチ強動かし、見事に戸は開いた。
こういうのは野生の勘なのだと思った。
工作が苦手なわたしだが、ここぞという時に英知が働いたことに感激しつつも、こんな間抜けな事件を起こしたことをわかっていないかのようなミシピの普段と変わらない表情に笑いが止まらなかった。
その数時間後家族が帰ってきて、一部始終を話したときの家族の表情といったらもう!!
おかしくて、今このコラムを書いている自分も思い出し笑いをしているのであった。
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