巡礼地「ロカマドゥール」の名を冠する山羊乳製チーズ
2020年6月2日 |
こんにちは!Salon de YOKOです。
5月26日(火)から3回にわたり、NHK BSプレミアムで放映されている「聖なる巡礼路を行く~カミーノ・デ・サンティアゴ1500km」という番組があります。
昨日、録画していた第1回目を興味深く見ました。
「カミーノ・デ・サンティアゴ」とは、ローマ、エルサレムと並びキリスト教三大聖地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼路のこと。
サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペインの北西部ガリシア地方にあり、キリストの十二使徒のひとり、聖ヤコブが祀られています。
巡礼の最古の記録は1000年以上も前だとか。
当時、聖地エルサレムはイスラム勢力の支配下にあったため、サンティアゴはキリスト教徒にとって、なおさら心の支えとなる重要な場所だったのかもしれません。
この「カミーノ・デ・サンティアゴ」には4つのルートがあり、今回NHKが撮影していたのは、「ル・ピュイの道」。
南仏のル・ピュイに始まり、コンク、モワサックなどを通ってピレネーを超えていきます。
なぜ、私がこの番組に興味を持ったかというと、実はこのあたり、古くから伝統的なチーズを造り続けている「チーズ好き」にはたまらない地域の一つ。
写真は、「ル・ピュイの道」の途上にある巡礼地、ロカマドゥール村で造られる、村の名を冠したチーズです。
春から夏の時期に旬を迎える、重さ約35gの小さな山羊のチーズ。熟成が進むとろりと溶け、それをスプーンですくってパンに乗せると絶品なのです!
ロカマドーゥルは急峻な崖の上に造られた村。
ロック(Roc=岩)、アマドゥール(Amadour=聖人アマドゥール*)を合わせて「ロカマドゥール(Rocamadour)」で、どうやらこの地で隠遁生活を送った聖アマドゥールの名に由来しているようです。
急峻な崖が連なる地域では牛を飼うことは難しく、飼いやすい家畜は山羊。事実、このあたりは小さな山羊のチーズの名産地なのですが、大規模な農耕地が取りにくい地形の中、乳製品の存在はとても大きなものだったのではないでしょうか。
今夜は8時から「聖なる巡礼路」第2回目が放送されます。
あいにくロカマドゥールはないですが、山羊乳製チーズと白ワインを用意して、じっくり楽しみたいと思います。
*聖人アマドゥール・・・ルカによる福音書第19章に登場する徴税人ザアカイが聖アマドゥールではないかといわれています。徴税人として生きてきたザアカイはキリストに出会って回心し、その後の人生を神にささげたといわれています。
本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
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