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Cafetalk Tutor's Column

bananafish 講師のコラム

【塾選びをする前に知っておきたいコト。】 第6回:個別指導塾における人間関係-2

2020年11月16日

「学習塾は人気商売」 

こんにちは。講師のbananafishです。

前回は、個別指導塾における人間関係を構成する要素のうち、教室そのものの基盤となる「教室長」について取り上げました。

今回は、日々の授業を担う先生の存在についてです。

お子さんとの相性を含め、お子さんが楽しく塾に通えるか、成績が伸びるかどうかの一番の要因が「先生」であることは言うまでもありません。

そんな「先生」の実態を改めて整理してみます。 

「学習塾は人気商売!(先生編)」 

「勉強を教えること」
「先生の役割は何ですか?」という質問に対して、ほとんどの方が、一番初めにこう答えるはずです。

しかし、個別指導塾の場合には、先生の質として、教え方が上手、説明がわかりやすいという条件よりも、良い話し相手になってくれるという条件が優先されます。

個別指導塾の先生は、ほとんどの場合が大学生のアルバイトです。大手直営の教室や、フランチャイズでも規模が大きな教室であれば、教室長のほかに1~2名、建て前として社員格の講師が在籍しているケースもあるようですが、社員格の講師が授業を担当するというのは、素人が考えても採算に合わず、一般的とはいえないと思います。講師陣の大半を占める大学生ですが、大学入学と同時に講師デビューして、丸4年間、続ける先生は少数派です。大学生活に慣れてきた頃にバイト探しを初めて、夏頃に講師デビュー。就職活動の期間はお休みして、内定をもらった後、卒業まで少しの期間だけでも再開してみる。そんな感じの先生たちは少なくありません。先生のほとんどが、「お勉強ができる素人」なのです。

中には、大学院に進学し6年間在籍する先生や、私のように、主婦で10年近くも続けているというケースもありますが、めずらしいと思います。そして、6年、10年と指導経験があったとしても、教員免許を持っているわけではなく、体系的な学習指導教育を受けているというわけでもなく、やはり「お勉強ができる素人」なのです。

では、「学校の先生」には出来ないけど、「お勉強のできる素人」に出来ることは何でしょうか?
それは、「個々の生徒の良い話し相手」になることです。

私が10年、講師を続けている間に、最初の年に小学校4年生だった生徒は、大学2年生になっています。今では、先生としてバイト仲間になっている子も少なくありません。まさに、楽しく塾に通ってくれていた証拠だと思うと、嬉しい限りです。

正直、私が所属している教室は、進学塾ではないので、残念ながら、彼・彼女らがいわゆる難関校に進学した優秀な人材というわけではありません。それでも、求人情報を通じて応募してくる難関校に通う優秀な先生たちよりも、人気のある先生になるケースが多いのです。

自分が楽しく通っていたからこそ、自分がどんな授業の時に楽しく勉強が出来ていたのかを知っているからこそ、生徒にとってどんな先生であればよいかというイメージが初めから出来ているからだと思います。

こんなふうに、個別指導塾の先生は、先生自身の学科指導力よりも、個々のお子さんとのコミュニケーション力が問われるのです。先生と生徒の関係というよりは、友達同士に近い存在です。一人では出来ないことも友達と一緒ならば頑張ることが出来ると思ってもらえることが、「お勉強の出来る素人」の最大の強みです。

反面、そこに落とし穴もあることにも気を付けなくてはいけません。誰とでも友達になれるわけではないのと同様、必ず相性の良い先生に出逢えるとは限らないという点です。

お子さんの性格にあった先生の人柄と授業の進め方を上手にコントロールするのは教室長の手腕です。多くの個別指導塾の場合、ご家庭と先生が教室長を介さずに直接やりとりをすることはありませんが、お子さんの様子を通して、先生との関係性が良好であるかどうかを見守ってあげることが大切です。上手くいっていないようであれば、教室長に相談できる雰囲気があることも重要です。

そして、友達のような存在の先生がいるから、楽しく塾に通うことはできるけれど、楽しいだけで目的からはずれてしまうケースも少なくないという点です。

「お勉強の出来る素人」にとって、個々の生徒一人一人の最終目的をきちんと把握し、正しく導くことよりも、その場、その場の授業を楽しく無難にやりすごし、生徒一人一人のご機嫌を損ねないことの優先度の方が高いのです。宿題、忘れ物、遅刻といった基本的なことをきちんと指導出来る先生や、親御さんの方針をきちんと理解し、ゴールを目指して指導できる先生は、残念ながら、多くありません。

「学習塾は人気商売」 

もちろん、楽しく通うことが出来るというのは、少なからず、勉強の機会を増やすでしょう。しかし、時間とお金というコストを考えた時、塾に通わせる本来の目的という観点から、本当に価値があるといえるのか?改めて考えてみてはいかがでしょうか?

次回は、塾に通いたい理由として無視できない友達関係に影響を与える生徒の存在についてお伝えします。

お楽しみに!

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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