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Cafetalk Tutor's Column

中村勇太 講師のコラム

チューニング/調弦のお作法

2021年2月20日

チューニング、調弦...練習でも、演奏でも大前提ですね。

最初は、楽器を抱き抱えて指で弦をはじきながら。
慣れてきたら楽器を構えて、弓で弾きながら。

ここで案外勘違いや間違いが多いものです。

ボーイング、運弓はチューニングに関係ないと思われがちですが、 
実は とても大切です。

楽器がうまく起きない時、調子が悪い時は「ジャァーン!!」と弓元から弓先まで
ハッキリと鳴らしたりすることもあります。

しかし、大きな音を鳴らす時、弓を押し付けてしまったり、
人差し指で弓を引っ掛けてしまう人が非常に多いです。

不要な弓の圧力で弦を下の方に押し込んでしまうと音程が微妙に変わってしまいます。
2本の弦を弾く時はとくに、2本それぞれの弦にかかる重さのバランスが崩れてしまって
調弦できていない状態に陥ります。

控え室ならいいかもしれませんが、
舞台の上でのチューニングはあくまで準備作業に過ぎません。
ステージマナーとして、舞台上では調弦しない!という方もいます。
これはものすごくかっこいいですが、
コンクールや発表会の調弦は、響き具合をチェックする機会でもあります。 

あんまり大きな音でやってしまうと、曲の始まりのドキドキがなくなってしまいます。
あんまりいいことがないんです。
 
自分も過去に指摘されて確かに!と思ったのですが、
Heifetz、Milstein、Oistrakh、Gitlis...
ほとんどの名手の調弦は「小さな音で」「弓先で」「アップ」 です。

これはその日の体調によって変わりがちな
「楽器の位置」「右肘の感触」 のチェックにもなります。

案外「あれ??」となってしまう方もいるかもしれません。
調弦のエチケット、マナーのようなものですが、
そこから「正しい構え」の気付きがあるかもしれません。 

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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