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Cafetalk Tutor's Column

Sachiko 講師のコラム

ロンドン生活こぼれ話 その23 ぼったくりも当たり前?お金のトラブル

2013年7月20日 | 5 コメント

 今回は、イギリスに住んでいれば必ず耳にすると言っても過言ではない程頻繁に起こる、お金に関するトラブルについてです。

 皆さんは、Direct Devid といった言葉を聞いた事はありますか?これは日本語で「口座引き落とし」という意味なのですが、私はこの方法はあまり好きではありません。もし選択肢があるなら、面倒でも毎月自分から会社に入金する方法を好みます。なぜなら、このDirect Devidによるトラブルを何度も耳にしているからです。耳にするだけでなく、実は私も経験した事があります。

 よくあるトラブルとしては、契約を終了したのに勝手に料金が引き落としされ続ける、ガス代がいつもと同じ位しか使っていないのに、いきなり3倍の金額が引き落とされてた、等です。日本でそんな話を聞くと「悪徳企業なのでは?」と思うかもしれないですが、普通に名の知られている大手の会社との契約で起こる話です。

 しかもこれがまた、返金してもらうのにものすごく手間と時間が掛かるのです。わざとやっているのでは?と思ってしまう程です。

 私が経験したお金に関するトラブルは二つあります。

その①

 インターネットを利用するのにある会社と契約をして、一年半程利用した後に、引越しをするので解約の手続きをする事になりました。私の利用していたモデムはその会社のものだったので、モデムを返却しなければいけません。その会社は返却用の封筒を送ってくれましたが、そこに一緒に入っていた手紙には「返却しない場合、150ポンドの料金が課金されます」との文が。ですので、きちんと書留で郵送履歴を追跡出来る様にしてモデムを返却しました。

 なのに二週間後。私の口座からは見事に150ポンドが引き落とされていました。

 なんとなく予測していた私は「やっぱり・・・」と思い、会社に「ちゃんと返却をしました」といった旨のメールをモデムを郵送した時に取っておいたレシートの写真と共に送りました。この時は返金されたのは1、2ヶ月後。しかも会社からは何の連絡も無しに、お金だけが私の口座に入金されていました。

その②

 これは本当にストレスが溜まり、そのストレスのせいで体調も崩した程の、苦い思い出です。

 ある日、イギリスのとある銀行の外にあるATMで、日本の口座から現金を引き出そうとした時の事です。カードを入れ「600ポンド」と金額を入力して待つ事数十秒。お金が出てこず、カードだけが戻ってきました。「あれ?変だな?」と感じたので一応確認しておこうと思い、当時インターネットバンキングを利用していなかった私は電話で入出金の詳細を確認しました。

 そしたら電話の先で読み上げられる声は信じられない事を言いました。「○月○日、午前○時、12万円出金。残高○○円」

 えぇ?ちょっと待って!出金って、私はお金受け取って無いのに何で口座からはお金が下ろされた事になっているの?と私はパニックです。(この12万円という金額は、当時の為替を覚えて無いので不確かですが、恐らく1ポンド200円頃の時代だったので、このくらいの金額だったと思います)

 次の日すぐに銀行に行って文句を言えば、すぐにお金を返してもらえるだろうと思っていた私に待っていたのは更に信じられない銀行員の言葉でした。

 「その口座と言うのはうちの口座?え?日本の口座?それはうちの管轄外だから、まずは日本の銀行に連絡を取って、その銀行からうちの銀行に連絡を取ってもらわない限りは、こちらでは何も出来ません」

 私は更にパニックです。「いや、でもATMの入出金を確認すれば、残高の違いで私が150ポンドを受け取って無い事はすぐに分かるはずですよね?確認してもらえないのですか?」と聞いても「こちらでは何も出来ません」の一点張り。仕方なく日本の銀行と連絡を取るにも、日本との時差は9時間。こちらの朝9時は日本では18時で銀行は空いていないので、夜中の1時の、日本で銀行が開く時間まで待って電話を掛けました。

 「あの、今イギリスに居て、お金を下ろそうとしたら現金が出て来なかったのですが、口座からは引き落としされた事になっているので、確認したくて電話をしたのですが・・・」というと日本の銀行の方が真っ先に言ってくれたのはこんな言葉でした。

 「と言う事は、今イギリスにいらっしゃいますか?とすると国際電話で料金がかなりかかってしまいますよね。もしよろしければ、こちらからお客様にお電話を掛け直しましょうか?」

 もうその気使いに、大金が勝手に口座から無くなってショックを受けていた私は凄く感動すると共に、ホッとしたのを今でも覚えています。

 その後も丁寧に係の方は対応してくれました。一つだけ心残りになったのが「ただ、こちらから手続きを行いますが、もし万が一、相手のイギリス側の銀行がこの件を認めない場合、お客様の元にこの金額が返金されない可能性もあり得ると言う事を、ご了承下さい」といった言葉でした。

 日本の銀行の対応に感動したものの、少し心配だった私はイギリスの銀行宛てに「イギリスで大手の銀行の一つである当社が、この様なトラブルでしかも私の元にお金が返って来ないと言う事は、あってはならぬ事だと思います。」云々と書いた長文のメールを送りました。その後一応銀行から返信のメールはあったものの、結局私の元にお金が返ってきたのは三ヶ月後の事でした。その時は「あぁ、やっとこれでストレスから解放される」といった安堵の気持ちでいっぱいになりました。

 こんなトラブルはそう頻繁には起こらないですが、ATMでよく起こるトラブルを一つ書いておくので、海外によく行く事のある方は気を付けて下さい。それは、「カードがATMから出てこない!」といった状況です。

 カードを入れて暗証番号と金額を入力すると、まずカードが出て来てその後現金が出て来るのですが、この時にカードをすぐに引き抜かないで置いておくと、カードが勝手にATMの中に戻ってしまうといった事が、よくあるらしいです。そうすると銀行に電話して、そこから更に業者がATMに来てカードを取り出してもらうのに2、3日かかる場合もあるみたいです。

 余談ですが、近々ビザ申請の英語力証明の為にTOEICのスピーキングテストを受けようと練習問題をやっていたら、最後の問題が「銀行で働いている所に、お客様からATMからカードが出てこないといった留守番電話が掛かってきていた。そこで電話を折り返し、対応する」といった問題でした。

 模範解答例の方は「ご不便をお掛けして大変申し訳ありません。只今、ATMを確認しています。また、お客様が今夜からご旅行ですぐにカードが必要との事で、今日中にカードを発行し、お客様の元にお届けします」と答えていたのですが、イギリスの酷いサービスに慣れきった私は「カードをその日に発行?しかもお客様の元に届ける?そんな事イギリスではあり得ない!」と、変な所に驚いてしまいました。イギリス流の対応をTOIECのテストで話したら、点数も下がってしまいそうですね。

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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