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Cafetalk Tutor's Column

Haci(ハチ) 講師のコラム

直説法半過去について

2016年2月16日

イタリア語をお勉強の皆さん、こんにちは。

さて、今日は中級にかかるくらいの人がつまづくことの多い文法事項について、少し言及してみましょう。(いきなりですけど)
それは、『直説法半過去』。

私たち日本人には(多分他の一部外国人にも)どこに近過去を使って、どういう場合に半過去を用いればよいのか、混乱が生ずることがあります。というのも、半過去はその代表的用法を4つ持ちますが、それだけでは終わらない事例がたくさんあるからでしょう。
これらの4つ以外の用法を、これから時々コラムに書いていこうと考えていますが、まずは基本の用法を見ていきましょう。
今回はそのうちの1つ。


①過去の特定時点における物、場所、人物(身体的・心理的様相)などの状態・状況を示す。
要するに、小説などで風景、登場人物の性格・状態、起こった事柄の背景・状況などを描写するのに用いられる。

例1)Alle otto e mezza eravamo davanti all'ingresso del canile, era ancora chiuso.
    8時半に我々は犬の飼育場の前にいた。まだ閉まっていた。

この場合、eravamo davanti と、era chiuso風景・状況を描写しています。

もう1つ見てみましょう。

例2) C'erano più di duecento cani là dentro e tu volevi vederli tutti.
これも C'erano più di duecento cani状況tu volevi vederli が人物の心理的様相をそれぞれ描写しています。

さて、文法書を読み込んでいる方の中には、ここで、「あれ、でも待って」と言われる方もいるでしょう。
「時間の流れを線として見た時に、近過去は点として、半過去は線として捉える」という一般的な解説が頭の中にあるため、状況や心理描写であることに結びつかないのではないでしょうか? 例えば(例1)の、「8時半という『点』上では、入り口は『閉まっていた』というのは近過去になるのではないか?」と考えてしまう方もいると思います。
ではここで、(例1)を直説法現在に変えてみましょう。

Alle otto e mezza siamo davanti all'ingresso del canile, è ancora chiuso.
8時半に私たちは犬の飼育場の入り口の前にいます。入り口はまだ閉まっています。

テレビのレポーターが実況中継する感じになりますね。

実は、直説法半過去は『過去における現在』(il presente del passato)ともいわれ、「過去のある観点に立つときその時点での現在を表す」ものなのです。それ故、半過去は直説法現在と共通する性質が多いのです。この性質は、半過去の他の用法にも通じます。それらはまた次回見ていきたいと思います。

「半過去」という文法用語からだとピンときませんが、イタリア語ではこれを「imperfetto」と呼びます。imperfetto=未完の、不完全な、未完了の という意味ですね。イタリア語で用語を見ると、何となく雰囲気が伝わるのではないでしょうか。直説法半過去は「動作の開始と終始の時期は考慮に入れられず、ある動作・状態が続いていた事実を表すのが主な働き」(l'imperfetto non da informazione né sull'inizio né sulla fine dell'evento, ma lo colloca nel passato in maniera indeterminata=不確定の、不定の、定まらない) を持つのです。


長くなりましたので、続きはまたそう遠くないうちに書いてみたいと思います。
理解するのはやはり慣れですので、簡単なものをいろいろ読んだり(絵本などもバカに出来ません)、日記をつけて自分で半過去を使った文章を書いて、感じを掴むのも良いと思います。



参考著書: "VIAGGIO NELL'ITALIANO" Loescher,  "in Itali@" HOEPLI,  "現代イタリア文法"白水社

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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