ヤサグレのK②「自転車恐怖症」
土日は悪友とゲーセンやボウリング場に行くようになった。
当時のゲーセンは暗い怖いイメージはなく、
割と明るいアミューズメント施設だった。
それは徒歩で友達の家に向かう途中だった。
「おい」
道路にはKとカップルしかいない。
どうやらカップルのうち男性に呼び止められたらしい。
「金貸してくれ。今いくら持ってる?」
男性は20歳くらいだろうか。
風貌は見た目一発、ワル。
ゲーセンで一度見かけたことがある人だった。
「500円しかないです」
「貸してくんね?」
「すいません、これで本を買うので…」
「じゃ、いいわ」
そう言うとカップルは去っていった。
Kは全財産の500円をカツアゲされずに済んだ。
友達の家でゲームをしていると後から腹が立ってきた。
でも、力もない喧嘩弱いKはどうすることもできず、
結局その500円で予定通り本を買った。
ちょいグレのKはこのあたりが限界だった。
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