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ナポリとカプリと坂本教授

今週のテーマ: 2022を振り返ってみると、達成できた目標はありましたか?又は、2022年の一番の思い出は何ですか?

ARI T.

どうも、イタリア語ペラペラ応援団団長のARI T.です。

今年も色々ありました。
今週の講師コラムテーマ「今年一番の思い出」。
いつもは、なるべく「楽しく、面白く」を心がけている私ですが、
私の1番の思い出は悲しい思い出。
もしもお嫌でなかったらお付き合いくださいませ。

2022年5月、イタリア語業界に激震が走りました。
本気のイタリア語学習者のバイブル「坂本文法書」の著者、坂本先生ご夫妻が
2022年5月にローマのご自宅で逝去されたのです。

坂本先生との間接的な出会いは、
私がイタリア語教室に通い始めた年です。
当時は「赤い辞書」と呼ばれる和伊辞典はまだ存在せず、
白水社の「白い辞書」が唯一の和伊でした。
その著者が坂本先生。
何度か書いたことがありますが、
あの頃は東京最大級の本屋に行っても、イタリア語参考書は
1)緑の辞書
2)白い辞書
3)小さな黒い辞書(大学書林)
4)お固い文法書
MAXこの4冊しか置いていませんでした。
このうち3冊が坂本先生の著書だったんですよ!
そう、すごい人だったのです。

ところがそんなことも知らず、
不備があると「鉄男〜、も〜!」と呼び捨てで文句を言っていた私(^^;
(あとで知ることになるのですが、これ、イタリア語業界あるあるで、
 ほとんどの人が「鉄男」よばわりしております(^^;)
けれど、当時は他に頼るものが何もありませんでしたので
(いま思うとこれは逆にラッキー)
イタリア語学習者全員がお世話になった先生なわけです。


そんなこんなで時は流れ1997年、ナポリで放浪していた時のこと。
当時の在イタリア大使(前コラムに書いた母の元カレ)から
「ナポリに行くから一緒に船に乗りましょう」とお誘いいただき、
いそいそ出かけるとなんとそこに鉄男が!
あの!  そう、あの鉄男、、、いや、坂本先生ご一家がいたのですよ!
やばっ。

ナポリから大使の知り合いのクルーザーでカプリに行き、
船の上でランチを楽しむなどと言う分不相応な
楽しい楽しい優雅な時間をご一緒させていただきましたのでございます。
(写真はその時のもの、若いw)
イタリア育ちの一人息子が同い年ということもあり話も盛り上がり、
以降、ローマに行くたびにご自宅にお邪魔していた図々しい私。
だって奥様のイタリア料理が美味しい!
美味しかった、、、んだもん。


コロナで生まれて初めて3年間もイタリアに行っておりませんが、
「次に伺うのが、ご年齢的にも、もしかしてお目にかかれるのは最後かも、、」
などと思っていた時に届いた訃報でした。
一報は、ナポリ船遊び以来親しくしている息子さんのFB。
「事情は訊かないで」と記載があったこともあり、訳もわからぬままにとりあえず知り合いに連絡。
(息子はイタリア育ち、投稿がイタリア語だったもんで、私が連絡係に)
翌日、ローマの友達から詳しい事情を知らせる一報が入り、さらに実感し大きなショックを受けました。


人というのは、こんなにも儚い存在で、
いつ目の前から消えてしまってもおかしくないのだ、と改めて実感した年となってしまいました。
その時その時を大事にしないといけませんね。


いまでも、生徒さんへのフィードバックに時々坂本文法書のページをスキャンして送ることがあります。
初版1979年にして、いまだにこれを超えるイタリア語文法書はないんです!
先日レッスンを取ってくださった外国語大学イタリア語学科の生徒さんもご存知の文法書。
辛い思い出が一つ増えてしまった2022年。
2023年は3年振りにイタリアに行くつもりなので、せめてお墓参りに行って感謝を伝えたいな〜。


暗い話を聞いていただきありがとうございました。
2023は楽しい思い出をたくさん作れたらと思います。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

コメント (2)

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  • ARI T.

    ほんとうですよね、そういう思い出この先も後悔のないように生きて行こうと思っています。ありがとうございます。

  • amalfina

    本当に命とは儚いものですね。昨年は大変お世話になった方や愛猫たちとの別れがありました。何一つ、当たり前のことなどないと改めて気づかされた一年でした。ご夫妻のご冥福をお祈りいたします。

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