『ヤバさん、モーレさん、ハッスさん』
ある日の夕方、老人ホームのベンチに座っているのは、2人の仲良しさん。
「いやあ、最近の若者は、なんでも『ヤバい』で済ませるらしいなあ!」
そう言ったのは、モーレさん。
「まったくだ。昔は『猛烈にうまい!』『猛烈に忙しい!』って、ちゃんと猛烈と言ってくれたもんだ」
隣にいたハッスさんもため息をついた。
「俺なんか、昔は『ハッスルするぞ!』って大人気だったんだぜ。
今じゃ『ハッスル』って言ったら、若者に『何それ?』って顔をされるしな!」
そこへ、若者たちの会話が聞こえてきた。
「このラーメン、ヤバい!」
「その服、ヤバくない?」
「明日のテスト、ヤバい!」
モーレさんが怒っって言った。「なんでもヤバいじゃないか!」、、、、、
すると、三人の前に、友達のヤバさんが現れた。
「呼んだ?」 ヤバさんは、この老人ホームの新入りです。
「お前か!」 モーレさんが立ち上がる。
「お前のせいで、俺たちが使われなくなったんだ!」
ヤバさんは胸を張った。
「いやいや、私だって昔は『危険だ』という悪い意味だったんだよね。それがいつの間にか『すごい』『かっこいい』『おいしい』まで表現できるようになりまして……」
ハッスさんが口を挟んだ。
「つまり、お前は言葉の万能選手ってことか?」
「まあ、そういうことですな。」
「ずるいなあ~!」 モーレさんとハッスさんが同時に叫んだ。
そのとき、突然、空から新しい言葉が降ってきた。
「エモい!」
三人は顔を見合わせた。
「……誰だ?」
「新入りです! エモといいます。」
ヤバさんがニヤリと笑って言いました。
「ほら、モーレさん、ハッスさん。言葉っていうのは、古くなったら終わりじゃないんですよ。」
すると、エモさんがてれくさそうに言いました。
「エモい、、って3,4年前にはよく使われてたんですがね、最近、また復活気味でして、、」
「どういうことだよ?」 モーレさんとハッスさん、
「死語になったって、いつか復活するかもしれませんよ」 ヤバさんが言いました。
するとハッスさんが急に立ち上がった。
「よし! 俺も復活だ!」 モーレさんも拳を握った。
「俺も猛烈に復活するぞ!」 ヤバさんが笑った。
「その意気込み……」 三人は声をそろえた。
「ヤバい!」
老人ホームの職員が、遠くから叫んだ。
「こら! 夜中に騒ぐな!」
三人は小声になった。
「……ヤバいな」
「猛烈にヤバい」
「ハッスルして怒られた……」
三人は、大笑い!
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