「分かったはずなのに,テストになると解けない」
「何を復習すればいいのか分からない」
こうした悩みは,努力不足だけが原因ではありません。
多くの場合,
勉強のやり方が少しずれていることがあります。
今回紹介する5つの方法は,
成績が伸びる子,理解が深い子が,無意識のうちにやっている学習法です。
特別な道具はいりません。
今日からすぐに始められるものばかりです。
1.見直すより,思い出す
想起学習〈アクティブ・リコール〉
人間は,すぐに「分かったつもり」になる生き物です。
テキストを見直していると,
「うん,分かる」
「見たら思い出せる」
と感じます。
でも,それは本当に覚えているとは限りません。
大切なのは,
見ながら確認することではなく,見ないで思い出せるかどうかです。
たとえば,次のようにします。
解説を見て問題を解いたあと,目を閉じてもう一度説明してみる。
英単語を見て日本語を答えるだけでなく,日本語から英語を思い出す。
レッスン後に,「今日習ったこと」を自分の言葉で話してみる。
紙も鉛筆もいりません。
たった1分でもかまいません。
「思い出す」だけで,復習の質は大きく変わります。
2.一度で覚えようとしない
分散学習〈スペースド・レピティション〉
人間は,忘れる生き物です。
一度の勉強で全部覚えようとするのは,かなり無理があります。
それなら,忘れることを前提にして,復習のタイミングを決めればいいのです。
ポイントは,
忘れかけたころに,もう一度やることです。
一度に長時間まとめて勉強するより,
短い復習を数日から数週間に分けて行う方が,長期的には定着しやすくなります。
たとえば,このようにします。
今日やったページを,
1日後,
1週間後,
1か月後にもう一度解く。
これだけで,同じ内容を少なくとも4回勉強することになります。
そのためにおすすめなのが,
最初に問題を解いた日付と曜日をページの上部に書いておくことです。
たとえば,「3月21日土曜日」と記入したなら,
3月22日日曜日,
3月28日土曜日,
4月21日,
にもそのページを復習します。
これなら,
「今日は何を勉強すればいいのか分からない」
という悩みも減ります。
今日の日付から,
1日前,1週間前,1か月前のページを探して,そこをやればいいからです。
茂みの中を一度通っただけでは,道はできません。
でも,何度も通ると,自然と道ができます。
雪国の歩道も同じですね。
雪国ではない方は,想像力を働かせてください。(笑)
勉強も同じです。
一度で完璧にするより,何度も通る道を作る方が強いのです。
3.先生役になって説明する
独り芝居学習
理解しているかどうかを確かめる一番よい方法は,
だれかに説明してみることです。
とはいえ,毎回だれかに聞いてもらう必要はありません。
目の前に透明人間の生徒がいるとイメージして,
自分が先生になったつもりで説明してみます。
これが,独り芝居学習です。
やり方は簡単です。
今読んだ内容を,目の前の生徒に教えるつもりで話す。
問題の解き方を,順番に説明する。
教科書を読む時も,ただ読むのではなく,誰かに話しかけるように読む。
ちゃんと説明できなかったところが,弱点です。
そこが,次に復習すべきポイントです。
「分かったつもり」
「覚えたはず」
この2つは,勉強ではよく起こります。
でも,説明しようとすると,ごまかしがききません。
理解の穴が,はっきり見えてきます。
4.同じ勉強を続けすぎない
交互学習〈インターリービング〉
人間は,飽きる生き物です。
同じ教科,同じ単元,同じ形式の問題を長時間続けると,
集中力も判断力も落ちていきます。
また,同じ問題ばかりを連続して解いていると,
本当に理解したのではなく,
パターンを覚えただけになってしまうことがあります。
テスト本番では,問題はバラバラに出てきます。
だから普段から,少しずつ混ぜて練習することが大切です。
たとえば,数学を3時間続けるのではなく,
数学30分,
英語30分,
理科30分,
国語30分,
数学30分,
社会30分,
というように,教科を交互にします。
できれば,
計算タイプ,暗記タイプ,読解タイプのように,
頭の使い方が違うものを交互にすると効果的です。
どうしても数学を長く勉強したい場合も,
計算,図形,確率,方程式など,
できるだけ分野を変えながら進めるとよいでしょう。
同じことを続ける安心感もあります。
でも,本番に強くなるには,
バラバラに出されても考えられる状態を作ることが大切です。
5.知らないことを,知っていることに結びつける
翻訳学習
人間は,未知のままでは理解できない生き物です。
まったく知らないことを,いきなり覚えようとしても,
なかなか頭に残りません。
でも,
「これは前に習ったあれと似ているな」
「これは自分の生活のこの場面で使えるな」
と結びつけると,理解しやすくなります。
これを私は,翻訳学習と考えています。
新しい知識を,
すでに知っていることに翻訳していく学習です。
たとえば,数学の新しい公式を見た時に,
「これは前の単元の考え方とどこが似ているのか」
と考える。
英単語を覚える時に,
「この単語は,どんな場面で使えそうか」
と考える。
理科や社会の用語を覚える時に,
「自分の身近な生活で例えると何に近いか」
と考える。
一見,遠回りに見えるかもしれません。
でも,こうした結びつきは,
あとで忘れた時に思い出すための手がかりになります。
教え方の上手な先生は,この結びつきを作るのが上手です。
ただ,先生がいつも全部結びつけてくれるとは限りません。
だからこそ,自分でも
「これは何に似ているか」
「どこで使えるか」
と考える習慣が大切です。
■ 学習法は,知っているだけでは変わらない
ここまで,5つの学習法を紹介しました。
1.見直すより,思い出す。
2.一度で覚えようとしない。
3.先生役になって説明する。
4.同じ勉強を続けすぎない。
5.知らないことを,知っていることに結びつける。
どれも特別な方法ではありません。
でも,成績が伸びる子は,
このようなことを自然にやっています。
反対に,
長時間勉強しているのに伸びにくい子は,
「見直して終わり」
「一度やって終わり」
「同じ問題だけを続ける」
という形になっていることがあります。
大切なのは,
今のお子さんには,どの方法を,どの順番で使うべきかを見極めることです。
学習法は,合っていれば力になります。
でも,合わない使い方をすると,ただの作業になってしまいます。
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