古文文法解説例 「なむ」の訳し方

kuro

髪もいみじく長くなりなむ。

をどう訳せばいいでしょうか?
文法的説明は、強意「ぬ」の未然形+推量「む」の終止形です。
よって、「髪もきっと大変長くなっただろう」と訳します。

ここで、

「完了の助動詞「ぬ」の未然形+婉曲の助動詞「む」の終止形と考えることはできないか?」

という質問がありました。

しかしこれはやはり、「強意+推量」と考えるのが良さそうです。
古典文法のルール(=古文を読んでるとよく出てくるケース)に当てはめてみると、

【ルール1】完了・強意の助動詞「つ」「ぬ」は、下に推量の助動詞が来るときは、「強意」で訳すことが多い(多いだけですよ!)。

例)てむ、なむ、つべし、ぬべし、、等

【ルール2】婉曲(〜のような)は、下に名詞がくるような形で使われることが多い。→だから今回のように文末に来ることは考えづらいです。

(例)
我の申さ【む】ことを聞き給へ。(私の申し上げる【ような】ことをお聞きください。)

(考え方)
この婉曲(〜のような)は、「〜みたいな」のような意味です。
「あなたはバカな人」と言われたらムカっときますね。
でも、「あなたはバカみたいな人」と言われたらどうでしょう。
それでもムカつくかも知れませんが笑、「バカな人」よりは意味が弱まっている感じがします。
「あなたはバカ【みたいな】人」・・・ここでも【みたいな】の下には「人」、下に名詞が来ていますよね

婉曲ってだいたいそんな使われ方をするんです。

ただし、婉曲の下の名詞は、古文ではよく省略されてしまうので注意です。
(「我の申さむを聞き給へ」とか、「我の申さむ、聞き給へ。」とか)

・・・

どちらも結構重要なルールです。

このルールに当てはめてだいたい文の意味が通るのであれば、やっぱり「強意+推量」と訳すのが妥当だよね、となると思います。

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