今日はワインと芸術についてのお話を。
ワインと文学、ワインと音楽、ワインと絵画など、
ワインには芸術家たちのインスピレーションをかき立てる何かがあるようです。
というわけで、
ワインを愛した芸術家たちのエピソード、
ワインにヒントを得て生まれた芸術・・・などについて、
折に触れ、このコラムでご紹介していきたいと思います。
さて、第1回目はアーネスト・ヘミングウェイ。
「武器よ、さらば」、「誰がために鐘は鳴る」などで有名な米文学の巨匠です。
ヘミングウェイはノーベル文学賞を受賞し、
数々の素晴らしい作品を残した成功者だった半面、
結婚生活の挫折、精神疾患の発症、凄絶な自殺など、
もう半分は苦難多き人生でもありました。
その波乱万丈な生涯の中で、彼がこよなく愛したものの一つに
ボルドーの銘酒、シャトー・マルゴーがあります。
シャトー・マルゴーはいわゆる5大シャトーのひとつで、
「ボルドーの女王」とも讃えられるエレガントなワインです。
ヘミングウェイは生前、たびたびシャトー・マルゴーを訪れては
多くのヴィンテージを楽しみました。
あまりにマルゴーが好きすぎて、
孫娘に”マーゴ”と名付けたのは有名な話!
「シャトー・マルゴーのような魅力的な女性になるように」
との願いが込められていました。
その名前の主が女優のマーゴ・ヘミングウェイです。
ちなみにマーゴは1970年代後半に、
日本の某食品会社のマーマレードのCMに出演されていたようですよ!
シャトー・マルゴーは高価なワインで、
なかなか購入のふんぎりがつかないようなお値段なのですが(笑)、
ヘミングウェイのこの逸話を聞くと、
幼い孫娘が無邪気に遊ぶのを見つめながら
静かにマルゴーを傾けるヘミングウェイの様子が目に浮かび、
なんだか微笑ましくなります。
その後、奇しくもヘミングウェイの命日のまさにその日に、
40代前半という若さでマーゴが亡くなられたのは、
何とも悲しいことです・・・。
もし、シャトー・マルゴーを飲む機会がありましたら、
ヘミングウェイの小説もぜひ、お手元にご用意いただき、
少しの間、彼の人生に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね!