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Cafetalk Tutor's Column

Tutor Salon de YOKO 's Column

カマンベールのオンラインセミナーを開催いたしました!

Dec 29, 2020

こんにちは!Salon de YOKOです。

今年もあと2日を残すのみとなりましたね。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、12月26日(土)21:00より、オンラインセミナー「チーズの世界へようこそ! vol.1 ~『本物』のカマンベールってどんなチーズ?~」を開催いたしました。

直前のカフェトークアワード2020年下半期において、ライブセミナー部門賞を頂戴したこともあり、今回は100名近い方にお申込みをいただきました。お忙しい中ライブ視聴してくださいました皆さま、心より御礼申し上げます!

今回テーマとして取り上げた「カマンベール」は日本でもなじみ深いチーズで、多くの方がこれまでに一度は召し上がったことがあるのではないでしょうか。

表面を白いカビに覆われた、小型(直径約10~11cm程度)の丸い牛乳製チーズを一般に「カマンベール」と呼んでいるのですが、実はこのカマンベールには「本物」と「カマンベールタイプ」があるのです。

ヨーロッパには、ワインやチーズをはじめとする農産物の名前を偽装されないように保護する、という考え方があります。

農産物は昔から、「カマンベール村のチーズ」、「ブリ地方のチーズ」、「ボルドー地方のワイン」、「ブルゴーニュ地方のワイン」など、有名産地の地名で呼ばれていました。

現在でも「カマンベール」、「ブリ」といえばチーズの名前、「ボルドー」や「ブルゴーニュ」といえばワインの名前になっていますよね。

これは裏を返すと、カマンベール村のチーズとブリ地方のチーズの個性が顕著に違っているからできることなんです。

人々は、長い間自分の住む土地のチーズやワインを銘品とするために、試行錯誤しながら伝統的製法を造り上げました。

その土地固有の原料を使い、伝統的な製法で農産物を造ることー、これはヨーロッパでは知的財産と見なされ、土地の名を冠した農産物は国(現在はEU)の認可が下りれば、その土地の生産者以外は使うことのできない登録商標となります。

この認可を受けた農産物には「A.O.P.*」という言葉が付記され、EUがその品質を保証するとともに、偽装品の生産を規制している証ともなっているのです。
*フランスの農産物はA.O.P.ですが、イタリアやスペインなどはD.O.P.で、各国の言語により表記が異なります。

カマンベールはこの認可を取得するのが遅く、認可を受ける頃には国内外含めて取り締まることが難しいほど模造品が出回っていました。そのため、伝統的製法で造る「本物」の名を「カマンベール・ド・ノルマンディー」として登録したのです。

現在、A.O.P.カマンベール・ド・ノルマンディーの名は、A.O.P.に登録された原料を用い、許された生産地で規定に従った造り方をしたカマンベールのみにしか使用が許されていません。

でも、ただの「カマンベール」には使用制限や製法上の厳しい決まりはないので、世界中の工場でたくさんのカマンベールタイプが造られています。


今回のセミナーで視聴者の方から寄せられた質問に、
◆同じ白カビタイプであるカマンベールとブリの違いは何か?
◆そもそもカマンベールタイプ、ブリタイプのチーズとは何か?
というものがありましたので、コラムでも少しご説明しましょう。

<①:A.O.P.カマンベール・ド・ノルマンディーとA.O.P.ブリ・ド・モーの違い>
◆生産地の違い:
カマンベールの生産地はフランスの北西部ノルマンディー地方。イギリス海峡沿いの海に近い街です。一方、ブリの生産地はパリ近郊のブリ地方。カマンベールのモデルとされるA.O.P.ブリ・ド・モーはブリ地方モー村のブリで、とても大きなチーズです。

◆大きさの違い:
カマンベール・ド・ノルマンディーは直径約10~11cm。一方ブリ・ド・モーは、直径約36~37cmです。

◆熟成期間の違い:
カマンベール・ド・ノルマンディーは最低21日間、ブリ・ド・モーは最低4週間の熟成義務があります。

◆味わいの違い:
両者とも、それぞれの土地の環境微生物を含んだ無殺菌乳から造られるため、味わいにもその気候風土の違いが強く現れます。

海沿いの地域で造られるカマンベール・ド・ノルマンディーは、潮風を受けた牧草を牛が食べることで、その潮っぽさがチーズに反映され、若干海由来の旨味を持つチーズになります。ブリ・ド・モーは内陸のチーズなので海っぽさはなく、旨味はミルク由来のものです。

<②:カマンベールタイプとブリタイプの違い>
こちらの場合は殺菌乳を使い、似た製法を用いて世界中の工場で造られています。上記で述べた通り、カマンベールもブリも特に使用制限のある名前ではないので、どこでも造れますし、製法に決まりもありません。

もちろん会社によって、牛を飼う環境や牛種、塩の量などは違うので、多少の風味は違うでしょうが、いずれにせよ乳を加熱殺菌することでその土地固有の微生物は死滅していますので、カマンベールもブリもそう大きく風味は変わりません。

従ってたいていの場合、大型の白カビチーズを放射状に100~200g程度に切り分け、一辺が18cmくらいのものを「ブリタイプ」、直径10cm程度の白カビチーズをホール(あるいは1/2個)で販売しているものを「カマンベールタイプ」と呼んでいることが多いと思います。

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さて、このカマンベールセミナーの動画を昨日より販売開始いたしました!

https://cafetalk.com/seminars/promo/?c=salon_de_yoko2&

当日見逃してしまった方、また面白かったからお正月にもう一度見てみたい!という方、500ポイントで販売していますので、よろしければぜひご覧ください!

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カフェトークの皆さま、本年は大変お世話になりました!

来年もワイン、チーズとも興味深い題材をテーマに取り上げ、オンラインセミナーを続けていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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