お疲れ様です、Yoshiです。
先日のコラムでは、「教材に浮気するな!」というテーマを取り上げました。
1冊を完璧にこなしてから次の教材へ、という話だったのですが、
どんな教材でもいいというわけではありません。
実は、英語教材には避けるべき特徴があります。
今回のコラムは避けるべき教材についてです。
<<避けるべき教材の特徴>>
独学において避けるべき教材の特徴、
それは・・・
「短期間で英語を習得できることをウリにしている教材」です。
よくある例として、
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中学英語を◯日間で完全マスター
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高校英語を◯日間で総復習
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英検◯級を◯週間で対策!
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◯日間でTOEIC〇〇点突破!
こんなタイトルの教材たちです。
よく書店やAmazonで見かけますよね。
ページ数も薄くてなんだか簡単そう。
値段もそこそこ安い。
つい手に取ってしまいがちな教材かと思います。
しかし、個人的にはこの手の教材はおすすめしません。
<<「言語学習」と「短期間」は相性が悪い>>
当たり前中の当たり前なんですが、
この手の教材をおすすめしないのは、
言語を短期間で習得するのは難しいからです。
「英語学習は長期間じっくりじっくり積み重ねていくもの」、
という認識を改めて強く持っていただきたいです。
私自身、高校卒業後はアメリカの大学へ留学しましたが、
「私生活に不自由なくなってきたな」と感じたのは
大学2年目の終わりごろです。
(留学したものの、当時の英語力はボロボロでした・・・本当に。)
毎日英語で大学の授業を受け、英語で山ほど宿題をこなし、
部活も全部英語、友達と遊びに行くのも全部英語。
これだけ大量の英語のインプットとアウトプットを繰り返しても、
大学でストレスフリーに英語が使えるようになるには2年かかりました。
(もちろん個人の生活環境や性格など、要素は様々ですが)
日本の学校で習う英語も、長期間の英語学習を大前提としています。
というのも、高校英語では中学英語を発展させたものを習うよう設計されているのです。
例えば、中学校で習う「未来形」の表現は以下の通りです。
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Be going to
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Will
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未来を表す現在進行形
高校になると、「未来系」をもう一度習います。
中学校で習った上記の3つに加えて「be about to」や
助動詞の「should(〜するはずだ)」「would(〜するだろう)」などが
追加されつつ、「未来形」を繰り返し学習することになっています。
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Be going to
-
Will
-
未来を表す現在進行形
-
Be about to
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助動詞「would」「should」など
もう中学校で上の3つは習っているはずなのに、
高校教科書では改めてこれらの未来形の表現が登場します。
未来形に限らず、
現在完了形や接続詞など、
よく聞く文法用語は中高どちらでも繰り返し学習します。
もう習ったことをもう一度習う必要はないとも言えそうですが、
言語学習に関しては
「1回やっただけじゃ忘れるから何度か繰り返してやっとこ」
という背景が学校英語に関しても徹底されている、というわけですね。
このように、英語学習とは本来長い時間をかけて
繰り返し繰り返し行うことで定着するものです。
よって、短期間での英語学習をウリにする教材がどこまで効果的か、
疑ってかかった方がよいというのが私の意見です。
<<タイトルで嘘をついているわけではない>>
勘違いしないで欲しいのは、
これらの教材は決して嘘をついているわけではないということです。
例えば、「中学英語を◯日間で総復習」という教材があったとしますね。
中学英語で習う文法が網羅されていて、
指定通りのスケジュールで進めていけば、
「総復習」したことになる教材とします。
短期間で英語の基礎が総復習できるなんて、最高!やったね!
高校英語バージョンも、1冊くださ〜い!
・・・いやいや、ちょっと待ってください!
その「総復習」、実際に英語力として身についていますか?
ただ教材を使って「総復習」しただけで終わっていませんか?
この手の短期間学習を売りにしている薄い教材は
英文法を広く浅くカバーしている代わりに、
実際にその短期間で使える英語力が身につくかどうかは
疑問が多く残るところです。
教材のタイトルの通り、
「総復習」ができることは間違いありません。
しかし、中学英語が短期間で1周した程度でばっちり身につくかどうかは別問題です。
このコラムのひとつ前の部分でも述べた通り、
言語学習は何度も何度も繰り返して練習することで定着していくものであって、
短期間で簡単に習得できるものではありません。
この手の教材をやったのにもかかわらず英語が上達しない人は、
ほぼ100%、その教材を繰り返し何周もやっていないことが原因です。
短期間で英語を習得するのは無理!
そもそも、そんな短期間で中学英語が「完全マスター」できるなら
全国の学校の教科書としてそれらが使われているはずですし、
英語の先生は全員クビですね。教材で完全マスターできるんですから。
そうはならずに教科書が毎年採択され、
英語科教員のみなさまが熱心に授業研究に取り組んでおられるのは、
まさにこういうことです。
<<終わりに>>
今回のコラムでは、「避けるべき教材の特徴」についてまとめました。
念のため特記しておきますが、
Yoshiはこれらの教材を真っ向否定するわけではありません。
確かに中高英語や英検など、
範囲が膨大に見える学習内容を
手軽に体験できるという意味では価値があるかもしれません。
普段勉強する習慣がない人や英語が苦手でまずは基礎からやり直したい人が、
まず勉強の第1歩目として独学を始めやすいというのもメリットのひとつでしょう。
他にもたくさんのメリットがあるはずです。ただ、タイトルが謳うままに、
「これをやれば短期間で英語ができるようになるんだ!」
と思って取り組む⇨教材を1周して満足⇨結局英語は伸びない、
という人をたくさん見てきたのでコラムにまとめた次第です。
もちろん何周も何周も繰り返してやれば効果は多少あるかと。
ただ、この手の教材は中身が薄いことが多いので、
せっかく繰り返してやるなら中身が充実した教材を選んだ方が
長期的に見て英語力が身につくのではないかな、と思うところですね。
教材選びには十分ご注意ください。
それでは今回はここで失礼いたします。