サムネイル

「えっ、粗末なものを出したの?」

Rumi.

こんにちは日本語講師のAoi.rです。

さて、昨日のコラムでは「いただきます」について日本人の宗教観とともに書きました。
今日は食事のあとの言葉「ごちそうさまでした」についてです

漢字で書くと「ご馳走様でした」
「馳走」はもともと漢語で「馬で走り回る」という意味。

昔はなかなか食材が手に入らないこともあり、馬を走らせあちらこちらから食材を集めてお客様をもてなしました。そのことに対して丁寧を表す「御(ご)」と敬意を表す「様」をつけ大変な思いをして食事を用意してくださったことに対して感謝を込めて言う言葉となりました。

では、こう言われたらなんとこたえるのでしょか・・・?

日本語のレッスンで「いただきます」「ごちそうさまでした」は勉強しても答え方は聞いたことないかもしれませんね。

「お粗末様でした。」が本来の答え方。

お茶をお出しするときも「粗茶でございますが・・・」
何かプレゼントをあげるときも「つまらないものですが・・・」

日本では自分の出したもの、行為を謙遜する謙虚な言葉を使うのが本来です。
(本当に粗末なものを出したり、つまらないものと思ってプレゼントするわけではありませんよ~)
ちょっとわかりにくいですよね・・・。現在は過度に謙遜することは少なくなってきています。


では、現在ではどのように返すのがいいのか・・・?

「ご馳走様でした」に対しては「お口に合いましたか・・?」あたりがいいでしょう。

プレゼントを差し上げるときも「つまらないものですが・・」ではなく最近は「〇〇がお好きだと伺ったので・・」「気に入っていただけると嬉しいのですが・・」など、素直な気持ちを伝えるほうが好感が持てるようです。
ただ、「これはとても高価なものです」「絶対に気に入るはずです」などは真実だとしても、避けた方がいい言い方です。押しつけがましいと感じてしまう人が多いと思うからです。
なぜなら、もともと「謙遜する」という文化があるので、そのような言葉には慣れていない人が多いからです。

一生懸命作っても「粗末」、高価なものでも「つまらないもの」・・という謙遜の文化がある日本。
それらは謙遜と同時に相手に気を使わせないための配慮もあります。「大したものではないので気にしないでください」というメッセージでもあります。

せっかく日本語を話せるようになっても文化の違いからすれ違いや、誤解が生じるのはお互いにとって残念ですよね。



昨日の箸を横に置くもう一つの理由は先の尖ったものを相手に向けない、という気遣いです。

昨日のコラムはこちら


次回は「日本の空気には何か書いてあるの?」についてです。

保存リストに追加済み

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。
この投稿へのコメントは受付けておりません。

出身国:

居住国:

教えるカテゴリ

講師の言語

日本語   ネイティブ
イタリア語   カタコト
英語   カタコト

Rumi.講師の人気コラム

  • 「議論がしたい!」「日本人の会話はつまらない!」

    こんにちは日本語講師のAoi.rです。今までフリートークをしていて数人の生徒さんから言われた言葉です。「議論がしたいのに、日本人の会話はいつも同じでつまらない。」「日本人は薄っぺらな会話で中身がない...

    Rumi.

    Rumi.

    0
    7642
    2022年4月4日
  • ”Se”  好きな曲・・

    好きな曲はたくさんあります。その中でこの曲 ”Se” これは 「ニューシネマパラダイス =Nuovo Cinema Paradiso=」という1988年のイタリアの映画での曲です。私はこの映画が、と...

    Rumi.

    Rumi.

    0
    4362
    2022年3月29日
  • 講師という仕事の一番いいところ

    私が講師という仕事を始めて一番良かったことは様々な方から刺激を受けて日々自分を成長させ続けられる点です。生徒さんの鋭い質問にしっかりしないと!と気合をいれ、生徒さんの笑顔に癒され生徒さんの何気ない一...

    Rumi.

    Rumi.

    6
    4314
    2022年3月20日
  • 絵を見て楽しく話そう!

    こんにちは私がレッスンで一番大事にしていること・・・それは生徒さんが 楽しい!って思うレッスンを提供すること。 生徒さんが 楽しむこと!(´▽`)誰でも経験があると思いますが、楽しい時間ってあっとい...

    Rumi.

    Rumi.

    0
    3910
    2022年1月30日
« 全講師コラム一覧へ戻る
お気軽にご質問ください!