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【零れ話】名前を呼ぶよ/喚你的名字

Kyouko

 
 名前は特別なものだと、多くの物語が描いてきた。

 客観的に言えば、
 それはただ「わたし」と他人を区別するための、便利なラベルに過ぎない。
 しかし生きていくうちに、
 なぜかだんだんとどの語族にも属さないような、
 ただこの命と繋がっている特別な言葉になってしまったような気もする。

 互いの名前を忘れてしまったあの二人は、都会を彷徨い、
 桜が舞う季節に電車越しにめぐり逢い、記憶の欠片をようやく見つけた。
 
 小さな女の子はお婆さんに名前を奪われてしまった。
 元の世界に帰りたいなら、
 自分の名前だけ絶対に忘れてはいけないと、少年が小さな女の子に告げる。

 紙に自分の名前を書くことは、あやかしにとって命を渡すと同じようなことだった。
 あやかしに名を預けてもらった少女は、
 あやかしを支配する力だけではなく、「友人」をもらった。

 名付けられないものなんて、世の中にはたくさんある。
 わたしたちも自分の名前を捨て、
 幽霊や海の底から浮かんできた泡のようになってしまったら、
 そうした方が多分、お互いのことを、自分のことを、
 もっと近づけられたのかもしれない。

 それでも、流行の歌はこのように歌っていた。

 「いなくてもいいか」一人呟いて空を見上げてた
 風に紛れて どこからか聞こえた
 僕の名前 僕が僕でいれるように貰ったモノ

 どうやら名前は、わたしたちをこの世界と繋がる細い糸のようなものだったらしい。
 残酷でやさしい繋がりだった。
 そして名前は、誰かに心から呼ばれてから、
 初めて他の言葉とは違うものになるかもしれない。

 ぼーっとしたり、真面目になったりして歩いてきた時間の中で。
 そんな時間の中で出会ってしまった人たちが紡いだ言葉の中で。
 そこで何かが確かに生きていた。

 人たちはあなたに向かって、初めましてと言った。
 さようならと言った。
 まだここにいるのかと言った。

 そしてあなたが初めまして気づく。
 そうか、わたしまだここにいたのかと。
 おまえも、ここにいたのかと。

 いつか、あなたがやさしい声で、自分の名前を呼べるようになれたら、
 それはきっと世界で一番美しい音になるだろう。

 悲しみに暮れてあなたの涙がこぼれる時
 寂しさに溢れて心がしぼんでく時
 名前を呼ぶよ あなたの名前を
 僕の名前を呼んでくれたみたいに

 あなたにはそのような瞬間があっただろうか?
 たとえそれはありふれた文字や発音の並びだったとしても、
 そんなあなたの名前でも、特別に聞こえてしまう瞬間が、あっただろうか?
 
 もしレッスンでお会いする機会がありましたら、
 あなたが望む呼び名で、心を込めてあいさつをさせてください。

 ハローハロー、初めまして。
 あなたが今ここにいることが、とてもうれしいです。

 (灰色の文字で示した歌詞は、ラックライフの『名前を呼ぶよ』より。)

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  在很多的故事裡,名字被認為是極為特別的。

  雖然明白說來,那不過是一個貪求方便的標籤,
  活著活著,卻又慢慢變得像是獨立於任何語系之外,
  直接連結生命深處的字詞。

  忘記彼此姓名的那二人,在都市裡尋覓,
  直至櫻花紛飛的季節,電車交錯,他們才和生命裡缺落的記憶重逢。

  小女孩將名字交給湯屋的婆婆,
  少年提醒她千萬別忘了原名,如此才能回去原本的世界。

  妖怪將自己的名字寫在紙上,便如同將性命交了出去,
  得到妖怪之名的少女從此有了朋友。

  世界上明明有那麼多無法命名的事物,
  當我們都褪去我們的名字,誰都不是,只像是幽鬼或深海泡沫,
  那樣或許可以讓我們更接近彼此,更接近自己。

  儘管如此,歌裡頭還是這樣唱。

  「我不在了也沒關係吧」 我一個人仰望天空如此呢喃
  我卻突然聽見混雜在風中 不知從何處傳來的 我的名字
  那個名字 是讓我得以是我的東西

  名字似乎是將我們繫在這個世界上的一根細繩,殘酷又溫柔。
  當那幾個字被誰打從心裡呼喚過後,才第一次變得與其他字彙不同。

  或許糊塗,或許認真,走過的那些時間,
  時間裡出現的那些人,人們對著你說,
  說你好,說再見,說原來你在這裡。

  然後你才知道,
  是啊,我還在這裡,而你原來也在。

  如果有一天,你學會用溫暖的聲音,呼喚自己的名字,
  那你的名字聽起來一定會是世界上最美的發音。

  當你悲傷落淚的時候 當寂寞滿溢、心快凋萎的時候
  我會呼喚名字 呼喚你的名字 就像你喊了我的名字那樣

  曾經有過那樣的瞬間嗎?
  無論是多通俗的字詞,多普遍的發音,
  卻讓你第一次覺得,你的名字聽起來也特別不一樣的那個瞬間。

  若是有機會在課堂上相見,
  請讓我用你希望的稱呼,好好地向你問好。

  哈囉哈囉,初次見面。
  我很高興你在這裡。

 (灰色的文字,譯自ラックライフ『名前を呼ぶよ』之歌詞)

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